インフラ攻撃
現在では、国際人道法で、戦争中であっても民間人を標的とすることは禁止されていると、私は理解している。
罪のない人々を殺傷すれば、報復として自国の罪のない人々が殺傷されることもあるだろうし、「軍事力」で報復できないなら、いわゆる「テロ行為」でしか報復できず、報復の連鎖を止められなければ、結果的にテロ行為が横行する原因にもなる。
そもそも、自国の側が相手国の民間人を殺戮しなければ、「報復」される危険性も少なくなる。なぜ、たったそれだけのことが理解できないんだろうか?その「理解できなさ加減」が私には理解できなくて、言葉を発せなくなっている今日この頃。
確かに、テロ行為は容認し難いと考えるけれど、なぜ「テロ行為」でしか「対抗」できない状況に追い込まれるかを考えたなら、それ以前の民間人攻撃に原因があるように私には感じられる。
さらに言えば、インフラ攻撃も全く同じだと私は思う。例えば、イスラエルはガザ地区の病院など(水道施設も、と書こうと思って、記憶違いがありそうなので病院だけを書いたけれど)のインフラを破壊し、ロシアは、発電設備などを破壊し、結局その結果として、多くの民間人が被害を被っている。体の弱い方は、おそらくそれが原因で亡くなっている可能性が高いけれども、直接的な戦闘による死者にはカウントされていないのかも知れない。それでも、「インフラ攻撃」さえなければ、生きていたはずの方は、相当に多いように思える。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024100500210&g=int
イラン核施設「攻撃すべき」 反対のバイデン氏批判―トランプ氏
これは、まずいでしょう?アメリカだったらスリーマイルで何が起きたか、チェルノブイリ、そして福島。
私は「原子力」は平和利用であっても、現在の人類にはコントロール出来ていないと思うから、基本的には反対。緊急退避的措置であっても、原則反対。
人々の経済活動を阻害する、他に代替策が見当たらないなど、緊急退避的な原子力利用ならば、やむを得ないという考え方をする場合もあるけれど、それでも、原則反対。
事故が起きなかったとしても、核廃棄物をローコストで処理する(私が言いたい「処理」は、「原状回復」であって、臭いものに蓋をするやり方は「処理」とは言わないと思っている。例えばだけれども、自分の自治体から出たゴミを「処理」するのに、隣の自治体にばら撒いたとしたら、そういうのは「処理」とは言わないと思う。廃棄物そのものを「なくす」もしくは、安全な形で自然界に戻すことができないならば、反対。
それ以上に、核施設を攻撃して核物質が拡散したならば、被曝する可能性があるのはイラン国内だけではない。現在、イラン上空を流れるのが偏西風なのか貿易風なのか知識がないけれど、偏西風や貿易風の蛇行だとかがあれば、イラク、アフガニスタン、パキスタンなどだけではなく、クウェート、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、トルコなどにも核汚染物資が拡散する可能性がある気がする。そうなった時に、イスラエルやアメリカは、除染費用を負担するのか?煽るだけ煽っておいて、近隣諸国に被害が及んだら「悪いのは全部イランだ」と主張するつもりだろうか。
いや、トランプやイスラエルなら、たぶん、自分たちが核施設を破壊しても、悪いのはすべてイランだと主張するだろうけれど。それで、イランが「除染コスト」を負担しない(できない)なら、核汚染物質をばら撒かれた国々は、自国の費用負担で除染を行い、もしくは、国民に癌患者が増えても、自国の経済負担で治療を行う、そういうことになるんじゃなかろうか。そうなることは、目に見えている気がする。で、アメリカやイスラエルに文句を言っても、「悪いのは全部イランだ」と、一切取り合わないから、泣き寝入りするしかない。
国際社会にとって歓迎すべき大国のリーダーならば、「インフラ破壊を、国際法で禁止すべきだ」くらいの主張をするはずだと、私は思う。トランプはどうか。一目瞭然。
トランプならイスラエルによる戦争を止められる、と、期待する向きもあるようだけれど、問題は、その「止め方」ではなかろうか。イスラエルによる圧倒的な勝利によって、戦争を終結させることが歓迎すべき方向性なのか、私には疑問しかない。いや、それがアラブ諸国の望みなら、別に文句を言う気はないけれど。
プーチン、ネタニヤフ、に、トランプも加えて、この三人に共通するのは何か。
人の心の痛みを理解する能力が、致命的に欠落している、という点だろうと、私は思う。こういうのが国家元首になると、その国の国民以上に周囲が迷惑する。