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セクシーフットボールという発明

リモートワーク21日目。

「世界中のあらゆる伝えたいを伝える」というミッションを掲げている僕らの会社には、ありとあらゆる種類のコミュニケーションの課題がオファーされる。

CI、BI構築から、キービジュアルとそれに紐づくさまざまなコミュニケーションビジュアルの設計・デザイン、ファクトシートづくりから実売訴求のチラシのデザイン、細かいところで言えば、クライアントが書いたセールス用のテキストの赤入れといったスモールワークまで、本当に多岐にわたっている。

好きな人に「大好きです」という気持ちを伝える時に、自分や相手のパーソナリティや立場によって告白の方法が変わってくるのと同様、企業がユーザーとコミュニケーションする方法も、そのプロダクトの特徴やマーケットの状況によってそれこそ無限に変化する。

僕たちはそのあらゆる可能性の中から、そのクライアントにとってその時点で最も適切だと思われる「伝え方」を考えるのが仕事なので、「伝え方のノウハウをパッケージ化」した製品を開発してセールスするのは不可能に近く、仕事はいつでも一期一会、完全オーダーメイドの世界である。そこがとても難しく時間のかかる部分ではあるけれど、逆にいえば「あらゆるコミュニケーションにおけるワンオフパーツ作り」が可能なのが僕らの最大の個性といってもいい。

そこであらゆる仕事に取り掛かる際、僕たちがまず最初にすることがクライアントへのインタビュー。それも可能な限りたくさんの関係者に、なるべくていねいに、たくさんの話を聞くようにしている。

通常はオリエンされた内容をベースに課題解決のデザインに着手することが多いと思うけれど、実はオリエンというのはクライアントが「いま考えている課題」のそれも「一部」でしかない場合が多く、よく考えてみるとその情報だけで正確なコミュニケーションを設計するのは至難の技だ。時間的な制約や仕事のスケールの問題もあって、オリエンではそのブランドがどんな想いで作られて、お客さまのどんな課題を解決するのか、という部分(ブランドフィロソフィー)については、必要最低限の情報として軽く触れられるだけのことが多い。

そのブランドが「何を一番伝えたい」か、という本質を理解しないままどれだけ企画やデザインのディテールを詰めたとしても、必ずどこかで「ブレ」が生じていく。サッカーチームで例えるなら「魅せるサッカーでお客様を楽しませる」「日本で一番強いチームになる」「地域の子供達に、サッカーの魅力を伝える」とか、達成したい目的というのは、そのチームによって変わる。だから、僕たちを含めてそのブランドに関わる人は、まずはそれを理解することから始めるのがベストだと思うのだ。どれだけスキルの高いメンバーを集めて、最新の戦略を導入したとしても、そのチームが最終的に達成したいのは何かを正しく理解していなければ、最適なコミュニケーションをデザインすることは難しいということだ。世界的なクリエイターが集結して、エッジの効いたビジュアルを作ったとしても、話題にはなるかもしれないけれど「本当に伝えたいこと」は絶対に伝わらない。

だから僕らは、どれだけ規模の小さな仕事でも、できるだけインタビューの時間を長く取ってもらうようにしている。これだけテクノロジーが進化しているにもかかわらず最高に非効率なやり方だと思われるかもしれないけれど、誰かが「本当に伝えたいこと」を知るには、「関わる人と直接話をすること」、それ以外に最適な方法はないと思っているし、実はその瞬間が一番心が踊る時間でもあるのだ。

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乾選手擁する野洲高校の「セクシーフットボール」は、今見ても最高にかっこいいしワクワクする。なるほど、チームコンセプトが明確だってことだよね。

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