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チリのアニメイベント「AEX」参加レポート & コロナ禍後のオタク文化の変化
2025年のAEX(Anime Expo Santiago)に参加し、イベントの進化やチリのオタク文化の変化を体感してきた。今年のAEXは会場の拡張や新しい展示の試みがありながらも、参加者数の減少やオタクの楽しみ方の変化も見えてきた。
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AEX 2025の注目ポイント
1. 会場の拡張 & コンテンツの凝縮
今年のAEXはエントランス広場を含め一部拡張され、以前よりも動きやすい空間になっていた。ただ、参加者数がコロナ前の最盛期より減少しているためか、よりコンテンツが凝縮された印象を受けた。
物販ブースの構成はコミックスとフィギュアが半々。日本のマンガが中心だが、中国・韓国のマンガも少数ながら並んでおり、チリのオタク市場の変化を感じる。
アーティストアレイ(同人サークルブース)は、数が半分以下になっていたが、その代わり1つ1つがかなり気合が入ったブース展開をしていた。
東南アジア圏のブースよりも「同人誌」を発行しているブースの比率は高い。同人誌以外にも「アニメ」からインスピレーションを得た「アート」を販売している作家もいて、ただの「2次創作グッズ」ではない質の高さもうかがえる。
アーティストとしての活動の登竜門になっていることもあり、セミプロ辺りのポジションにいる人達が作品発表の場の1つとしてのイベントが定着化しているとも言える。
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2. 「ニワトリファイター」の展示が人気スポットに
エントランス広場には、「ニワトリファイター(Rooster Fighter)」の展示ブースが登場。フォトスポットとして多くの来場者が写真を撮り、賑わっていた。
AEXとしては新しい試みの1つであり、オタクイベントでの展示の幅が広がりつつあることを感じた。
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3. 若年層の増加と「外で楽しむ」スタイル
イベントには若いオタク層が増えていたものの、チケット代の高騰もあり「会場に入らず、外の公園でコスプレパーティーを楽しむ若者」も多く見られた。これは日本のコミケ周辺で見られる現象と似ており、イベントの「場」の楽しみ方が変化していることを感じた。
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4. コスプレの新しい楽しみ方:TikTok撮影が定番に
会場では、TikTok撮影をしているコスプレイヤーが多かったのも印象的だった。以前は「写真撮影」がメインだったが、今は「ショート動画で拡散」する流れが強まっている。コスプレ文化は、よりSNS時代に適応した形で進化しているといえる。
コスプレコンテストの出場者は、以前よりもクオリティが高くなっていた。
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コスプレイヤー達のジャンルは割と満遍なく多様だった。日本のものも多かったが、コンテストに出場しなかったレイヤーさん達を見ると原神の数が多かったように思う。
(原神レイヤーさんはあまりコンテストに出場しなかったのも興味深い🤔)
5. 東京女子プロレス vs. チリ女子プロレスが熱狂。アニソンライブは定番の安定感。
プロレスもAEXの目玉のひとつ。今回はステージ前に特設リングを設置。東京女子プロレスとチリ・サンティアゴの女子プロレス団体によるタイトルマッチが開催され、サンティアゴの観客はどちらの選手にも熱い声援を送っていた。
アニメイベント×プロレスという異文化ミックスが定着しつつあるのは面白い傾向。
ブラジルのアニメイベントでもプロレスを開催したことがあるものの、それとも違う盛り上がり方だった。
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アニソンライブはチリのアニメイベントでは定番化しており、集客数や盛り上がりはコロナに関わらず一定の水準を保っている。
ただ、観客はアニソン以外の刺激も求めているという意見も聞かれたので、今後何かしらの分岐点があるかもしれない。
6. VR体験の人気
講談社VRラボの体験ブースは常に希望者で賑わい、人気コーナーに。新技術への関心が高く、チリのオタク層におけるVRの可能性の高さを改めて実感した。
VRヘッドセットを持っている人はそこまで多くないものの、CGクリエイターやビジュアルデザイナーなども訪れて感動を伝えてくれた。
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コロナ禍後のチリのオタク文化の変化
AEX 2025を通じて、チリのオタク文化がどのように進化しているのか、いくつかのポイントが見えてきた。
1. 参加者数は減少傾向、でも楽しみ方は多様化
コロナ前の最盛期と比べると、イベントに足を運ぶオタクの数は減っている印象。ただし、コスプレイヤーが会場外で交流したり、SNSでの発信を楽しんだりする傾向が強まっており、「イベントの場」をどう楽しむかが多様化している。
2. コスプレ文化の進化:TikTok & 屋外パーティー
コスプレ文化はますます拡大。従来の「写真撮影」から、TikTokやショート動画の撮影へとシフトしており、コスプレイヤーの発信スタイルが変わってきている。また、会場外の公園でのコスプレ交流も活発になり、「公式イベントの内外を問わず、自由に楽しむ」文化が広がっている。
3. コンテンツの多様化:日本以外のマンガ & 異ジャンルの融合
日本のマンガ・アニメが依然として主流だが、中国・韓国の作品も増加。また、プロレスやVRといった「オタク文化+α」のコンテンツが人気を集めており、イベントの楽しみ方がより広がっている。
まとめ:オタク文化の進化が加速中
AEX 2025では、オタク文化がコロナ前と異なる形で進化していることを実感した。
• イベントの楽しみ方が多様化(屋外パーティー & TikTok撮影)
• VRやプロレスなど、新たなエンタメが定着しつつある
• 日本のマンガ・アニメは依然人気だが、多国籍化も進行
コロナ禍を経て、チリのオタク文化はより自由で、個々の楽しみ方が重視される方向に進んでいる。ただ、運営では気になる部分もあった。
舵取りをする上で今後の展開として難しい選択を迫られるのではないかとも感じた。
AEXのようなイベントが、今後とのような舵取りをするのか、楽しみがまた1つ増えた。