第三次世界大戦への潮流を探る(4)|ARMAGEDDON 最終戦争
written by Genji Himuro
ハルマゲドン(Armageddon)は、アブラハムの三宗教即ちユダヤ教・キリスト教・イスラム教においては世界の戦争を終わらせる最終戦争の決戦の地、ヘブライ語でメギドの丘を示す言葉であると解釈され、
最終戦争
の意味で使われる。
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【ワシントン】ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、
ウクライナが、米国など西側諸国に、大規模な兵器の追加供与を求めていて、米国が今まで供与を拒否してきた長距離ミサイルの供与も要求していることが分かった。
米国議員が閲覧したという文書をWSJが確認した。
文書には要求する兵器が列挙されておりウクライナが攻勢を維持するにはこれらの兵器が必要だと書かれている。
要求兵器のリストには、これまで米国が供与を拒否してきた射程距離約190㏕(約300㎞)の戦術地対地ミサイルATACMS(エイタクムス)も含まれている。
という9月13日付の記事を掲載した。
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【モスクワ】9月15日、ロイターは、
ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、15日、「米国政府がウクライナへの長距離ミサイル供給を決定すれば、ロシアは米国がレッドラインを越えて紛争の直接当事者になったと認識する」と指摘し、「ロシアは自国領土を防衛する権利を持っている」と米国を牽制した。
米国政府はウクライナに対して誘導多連装ロケットシステム(GMLRS)を供給してきた。 これは高機動ロケット砲システム「ハイマース」(HIMARS)発射台から発射され、最大80キロ(50マイル)離れた標的を攻撃できる。
米当局によると、ウクライナは米国のロケットをロシア攻撃には使用しないと約束している。
「ハイマース」の発射台は、最大300キロの射程を持つ「陸軍戦術ミサイルシステム」(ATACMS)の打ち上げにも使える。ウクライナ政府高官は8月19日、ATACMSを保有しているかどうかについて言及を避けていた。
ウクライナは、2月に侵攻したロシア軍と戦うために米国などの西側同盟国に対して大量の武器を供給するように要請し、受け取ってきた。
と報道した。
写真は、M270 MLRSから発射されるATACMS(Army Tactical Missile System;エイタクムス)
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9月15日、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、
「米国とその同盟国は、ウクライナ政権に武器を供給することによってウクライナの戦争犯罪の加担者となっている。もしも米国がウクライナに長距離ミサイルを供給すれば、ロシアは米国がレッドラインを越えて自らウクライナ紛争の当事国になったと認識する。」
「 米国がウクライナに長距離ミサイルを供給するということは即ち、1987年に調印された中距離核戦力全廃条約(Intermediate-Range Nuclear Forces Treaty)の禁止事項『ロシア領内の標的を撃ち落とす能力を有する米国製地上発射型ミサイルの欧州諸国への配備』に当たる。」
と述べた。
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cf. 中距離核戦力全廃条約は、事実上、2019年8月2日に失効したことになるので、ザハロワ報道官の発言の真意は不明である。(注1・注2を参照)
注1:中距離核戦力全廃条約の正式名称は「中射程及び短射程ミサイルを破棄するアメリカ合衆国とソビエト社会主義共和国連邦の間の条約(The Treaty Between the United States of America and the Union of Soviet Socialist Republics on the Elimination of Their Intermediate-Range and Shorter-Range Missiles)中距離核戦力全廃条約の他の短縮名はINF全廃条約・INF条約など。
注2:中国がミサイル開発を進めていることをに懸念を抱いたトランプ大統領が2018年10月20日に本条約の破棄を表明した。2019年8月2日に失効した。
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ウクライナ・ロシア紛争は、アメリカ、イギリス、イスラエルの戦争派勢力が後ろ盾するウクライナ政権によるロシアとの代理戦争である。
英国ロスチャイルド国際金融権力集団を核とする西側戦争派勢力は、1991年ソビエト連邦崩壊後、有形無形にロシアを完全支配する計画を遂行し続けた。
しかし、1998年8月、キリエンコ政権が意図して起こしたロシア金融危機によって、ジョージソロスをはじめとする西側戦争派勢力はロシアから駆逐され、更に2000年5月にプーチン大統領がロシア連邦の実権を握ったことにより、西側戦争派勢力によるロシア支配計画は完全に頓挫した。
プーチン大統領の登場によって、ロシア支配計画を修正せざる得なくなった西側戦争派は東欧諸国への干渉を強めて影響力を徐々に高め、ロシアに隣接するウクライナに対する西側戦争派による政治的経済的侵略が実行された。
2004年、西側戦争派によって、ウクライナでオレンジ革命が引き起こされ、親ロシア政権が倒されヴィクトル・ユシチェンコ反ロシア政権が不正選挙によって誕生、2007年12月のユーリヤ・ティモシェンコ政権へと続いた。ティモシェンコ(1960.11.27 - )はオレンジ革命を推進した女性政治家として有名になったが、彼女はウクライナ最大の資産家であり西側戦争派が後ろ盾だった。
2010年、ヴィクトル・ヤヌコヴィチ政権の誕生によって、新ロシア政権が復活したが、2014年、西側戦争派が起こしたマイダン革命によってヤヌコヴィチが失脚して反ロシアのペトロ・ポロシェンコ政権となり、2019年5月、現在のウォロディミル・ゼレンスキー政権となった。
1991年のソビエト連邦崩壊から1998年ロシア金融危機までの間に、国の崩壊でカオス化したロシアにおいて政治的経済的支配を確実に進めていた西側戦争派勢力は、2000年のプーチン大統領の出現によってロシア支配計画が完全に頓挫した。西側戦争派勢力はロシア侵略の最前線として2004年からウクライナを政治経済的に完全に支配したうえでロシアに対する侵略のための挑発を行い続けたのである。
挑発は成功して、今年2月24日にロシアはウクライナに対する特別軍事作戦を開始した。
しかし、戦争を始めていないにもかかわらず、圧倒的に強いロシア軍によってウクライナ軍は敗北を重ね、もはやロシアに勝利することは不可能と知った西側戦争派が計画している最終手段が長距離ミサイルによるロシア本土攻撃或いは原発攻撃である。
まさに、世界を二分している戦争派と平和派の最終戦争である。
建前では、ウクライナに長距離ミサイルを供与すれば紛争に巻き込まれるという懸念を指摘しているバイデン政権だが、本音では、供与して第三次世界大戦を引き起こして世界をカオス化するしか戦争派の生き残る道はないと考えているだろう。
ロシアは、彼ら戦争派の本音が実行されることを想定している。
ザハロフ報道官によるレッドライン発言は英国・バイデン米国・イスラエルに対する警告である。
追い詰められた戦争派が愚かな計画を実行した時、ロシア連邦は躊躇なくロシア最強の戦術兵器を使用するだろう。
その時、イギリス、アメリカ、イスラエルほか、すべての戦争派勢力は反撃する間もなく蒸発する。
ハルマゲドンである。
イスラエル殲滅の主力となるロシア地中海艦隊
エムケイコンサルティング情報室 氷室玄司