兵は詭道なり|勝つためではなく負けないための不敗不戦思想
16世紀、ルネッサンス、大航海時代によって幕を開けた近代史。科学進歩による産業革命が欧州型/ライン型と英米型/アングロサクソン型の資本主義を発展させました。
しかし、時を経て時代は英米型金融・英米型資本主義が終焉を迎えBRICSやアラブ諸国を中心にした新たな金融・新たな資本主義の黎明期に入り世界は大激動の真っ只中、組織も個人も大なり小なり激しい生存競争にさらされています。
こんばんは、良仁です。
皆が帰国するまで note の留守番です。(笑)
いつも老荘思想なので、昨今人気の孫子の話をしましょうか。
ある調査によれば、近年、上場企業の経営者の三人に一人が中国の武経七書の一つである孫子の兵法思想を経営に活かしているという結果が出ています。
孫子は、孫子・呉子・尉繚子・三略・六韜・司馬法・李衛公問対という武経七書の一つで、紀元前500年頃、今から約2500年前に中国の呉人、孫武が著した兵法書です。
孫子の名称は、上述の孫武の兵法書名であり同時に孫武の尊称でもあるので覚えておいてください。
AD215年の魏・蜀・呉による中国三分で始まる三国時代、三国志の魏の英雄、曹操が孫子の兵法を駆使して戦いの8割に勝利したという逸話があります。
日本では、16世紀の戦国時代、強国の武将が学んでいた三略や六韜に加えて武田信玄(1521-1573)が軍略に取り入れたのですが、信玄が、孫子13篇の中の軍争篇に書かれている風林火山の軍旗を使ったので孫子が周知されるようになりました。
西洋では、ナポレオンが軍略に使ったのが知られています。今日では、ビル・ゲイツや孫正義が傾倒している兵法書として関心を引きました。今や悪名高いゲイツに悪用されるのは大迷惑ですが… (笑)
さて、孫子13篇の始まりは計篇です。この序論の一節が兵は詭道なりです。孫武の兵法思想を表現しています。
兵者詭道也(兵は詭道なり)
兵者詭道也。
故能而示之不能、用而示之不用、近而示之遠、遠而示之近、利而誘之、亂而取之、實而備之、強而避之、怒而撓之、卑而驕之、佚而勞之、親而離之。
兵は詭道なり。
故に能なるも之に不能を示し、用なるも之に不用を示し、近くとも之に遠きを示し、遠くとも之に近きを示し、利にして之を誘い、乱にして之を取り、実にして之に備え、強にして之を避け、恕にして之をみだし、卑にして之を驕らせ、いつにして之を労し、親にして之を離す。
戦争はだまし合いである。
だから、出来ることでも出来ないように見せて、必要であっても不必要であるように見せ、目的地の近くであっても遠くであるように見せ、遠くであっても近くであるように見せ、相手に利があるかのように誘い、相手の混乱の隙に奪い取り、次に起きる戦に対する備えをして、こちらより強大な敵との戦いを避け、相手を挑発して混乱させ、取るに足らぬと思わせて相手を驕らせ、相手を疲労させて、勢力を分断する。
いかがですか? 私も仕事では常に実践しています。うちのマーベリックたちも一様に習得し実践しています。
コロナパンデミック、mRNAワクチン職域接種、言論弾圧、貧困化など、虚実混然とした矛盾・不条理・理不尽で溢れる社会で生き残ってゆくにはどうすればいいのか?
勝つためではなく負けないための思想。
日本の戦国時代、「兵は詭道なり」をよく実践して天下を握りかけた織田信長、孫子を徹底的に研究実践して戦国時代を終わらせた徳川家康、孫武が著して2500年間、古今東西、激動の時代に生きカオスを終わらせた英雄たちが懸命に学び実践したサバイバル思想、
勝つことではなく負けないこと
不敗不戦思想を教示する孫子を、これからの日本を背負って行く若者たちに大いに学び実践していただきたい。