第三次世界大戦への潮流を探る(3)|ロシア連邦構成主体承認願望の高まり
written by Yumi Nagano
今年2月、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の指導者たちが共和国の独立を承認するようにロシアに求めたのに対して、プーチン大統領は2月21日に二つの共和国の独立を承認する大統領令に署名しました。
現在、両国の社会院は、それぞれの共和国をロシア構成主体(連邦構成主体)として承認する住民投票の実施をそれぞれの共和国首長に提案しています。
ロシアの一部になりたいという要望をへルソン州やザポリージャ州も表明しています。
ロシアの正式名称は「ロシア連邦」であり、現在のロシアは85の連邦構成主体(国や共同体)が集まった国家集合体です。
連邦構成主体は、ロシア人が多数居住するエリアを地方・州、ロシア人以外が多数居住するエリアを共和国・自治州・自治管区と称して区別しています。
ロシア連邦は14の国と隣接し、人口(142百万)の約80%を占めるロシア人をはじめとする190民族で構成されています。
プーチン大統領はロシア連邦を8つの管区に分けて大統領全権代表をすべての管区に配置して連邦の統制を図っています。
仮に、現在、ロシア連邦構成主体を承認する住民投票実施に向かっているドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国で、住民投票が実施されロシア連邦構成主体になった場合、ウクライナ政府による弾圧行為はロシアに対する敵対行動としてロシアによる報復を受けることになります。
その時、もし、NATOがウクライナとの安全保障条約に拠る集団自衛権を発動したら第三次世界大戦が勃発します。
つまり、NATOが安全保障問題でウクライナに関わることが即ち第三次世界大戦勃発の可能性を最大にするということを私たちは知っておかねばなりません。
以下の記事の通り、9月13日、ウクライナ大統領府はキエフ安全保障条約の草案を発表しました。メドベージェフロシア国家安全保障会議副議長が指摘した通り、ウクライナ大統領府が発表したキエフ安全保障条約の草案は第三次世界大戦の序章になります。
ウクライナとNATOの安全保障条約締結を煽るであろうマスコミによる世論形成活動に利用されないことが大事です。
★ 追記 (2022年9月21日)☆ ★
ウクライナ情勢が大きく動きました!
昨日9月20日、ドンバス地方のドネツク人民共和国(ドネツク州)とルガンスク人民共和国(ルガンスク州)両共和国の首長(ドネツク首長デニス・プシリン|ルガンスク首長レオニード・パセチニク)は、「ロシア連邦構成主体承認についての住民投票の実施に関する法律」に署名しました。
両共和国は9月23日から27日に住民投票を実施すると決定しました。
この決定に応えて、ロシア連邦議会のヴャチェスラフ・ボロジン国家院議長は、昨日、20日の下院本会議で、住民投票でロシアの構成主体となることに住民が賛成票を投じた場合、ロシアはドンバスの各地域の決定を支持すると表明しました。
Vyacheslav Viktorovich Volodin 1964.2.4 - 58歳
エムケイコンサルティングDEU 永野由美