地方の建設コンサルタントが求められている2つのこと
様々な業界では大手企業と中小企業というふたつの大枠がありますが、建設コンサルタント業界も同様です。
この投稿では、大手の建設コンサルタントと地方の建設コンサルタントの特徴を本当に簡単に説明したうえで、地方の建設コンサルタントに求められていることはなにか、について綴ります。
1.大手建設コンサルタントの特徴
建設コンサルタント業界で大手としてよく名が上がる企業は例えば以下の通りです。
日本工営
建設技術研究所
オリエンタルコンサルタンツ
パシフィックコンサルタンツ
八千代コンサルタント
これらの企業は会社の売上高が大きいのはもちろん、技術者の数が多いことが特徴的です。また、その技術者の多さから、全国に支店、営業所を構えており、全国をカバーしています。
またこれらの大手の建設コンサルタントは総合建設コンサルタントとも呼ばれます。総合と名の付く通り、カバーできる対象インフラが広く、幅広く対応が可能ということを意味します。
2.地方の建設コンサルタントの特徴
一方、地方の建設コンサルタントは、地方に数多と存在しています。
所員は所長だけの個人事務所もあれば、数百人の所員を抱える会社もあったりとその規模は千差万別ですが、基本的にはメインとなる拠点(=地場)を有していることが特徴です。
僕の会社も40数名のため、地方の建設コンサルタントにカテゴライズされます。
3.地方の建設コンサルタントが求められていること
技術者の多さ、勤務地の広さ、地場の有無などの簡単な特徴をざっとまとめたところで、大手の建設コンサルタントと比較して地方の建設コンサルタントが求められていることを考えてみます。
僕は、地方の建設コンサルタントに求められるのは以下の2つだと考えています。
①幅広い種類のインフラへの対応や地場の理解を含めた総合力
②小規模な業務でも対応できる軽いフットワーク
以下でそれぞれ説明します。
①総合力
地方の建設コンサルタントの顧客となる発注者は都道府県や市町村が中心となりますが、非常に高い技術力を求められる業務が出てくることはそれほど多くありません。
なぜなら、非常に高い技術力を求められる業務を発注する場合、高い専門性や技術者を有する大手の建設コンサルタントに対応させることが一般だからです。
一方、地方の建設コンサルタントで求められているのは、ワンストップで幅広いインフラを対応できるか(道路、上水道、下水道、排水路、造成などなど)です。
言い方を変えると、非常に高い専門性が求められる業務は大手の建設コンサルタント、相応の専門性が求められる業務はワンストップ対応可能な地方の建設コンサルタント、と分けられます。
加えて、地方の建設コンサルタントは、地場に拠点を構えていることから、往々にして地場に精通しており、情報を多く有し、実情や実態を理解しています。発注者からすれば、共通言語や共通認識を持っている相手として地方の建設コンサルタントは相談しやすい相手と言えます。
②軽いフットワーク
インフラの整備と聞くと、測量、調査、設計等で数十億円のような大きい規模の業務を想像されるかもしれません。
もちろんそのような業務もありますが、一方で発注者はこまごまとした業務を抱えていることも少なくありません。例えば、道路の補修や取付道路の設計、排水路の被災調査、上水道の布設替え設計などです。
このようなこまごまとした業務は大抵小規模であり、大手の建設コンサルタントにわざわざ対応するほどの規模でもありません。企業規模と業務規模のスケールがマッチしないからです。
一方、地方の建設コンサルタントならば、地場の理解に加え、スケールも適当なため、小規模の業務においては、発注者からみれば地方の建設コンサルタントに委託する方が妥当といえます。
この需要に対応するため、地方の建設コンサルタントは機動的に小規模の業務に対応すべく、フットワークを軽くすることが求められます。
4.まとめ
今回の投稿のまとめは以下の通りです。
・地方の建設コンサルタントは地場を持っている
・ワンストップで幅広いインフラに対応可能でき、発注者との共通認識、共通言語を有している総合力が求められる
・併せて、小規模な業務で機動的に対応可能なフットワークの軽さも地方の建設コンサルタントには求められている
まとめてみると、大手の建設コンサルタントと地方の建設コンサルタントでは技術力や業務規模によって住み分けがなされていると言えます。
5.さいごに
もし、この投稿を読んでいる方が建設コンサルタントを志望しているならば、「どのような立場で発注者と仕事をしたいか」の視点を考えてみるのも一考かもしれません。
高い技術力でもって、大規模な業務に従事して多くの人に貢献したい!という考え方もありますし、地元の困りごとや地域の幅広い課題を解決し、寄り添うことをしたい!という考え方もあります。
もちろん、これらが両立するような視点や別の視点もあると思います。
どのような立場で働くかを具体化していくと、おのずと適当な企業が見つかるかもしれません。
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