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公務員が退職した後の健康保険を考える

公務員は定年までの間は共済組合の被保険者として健康保険料を納付しますが、中途で退職して個人事業主になった場合は、国民健康保険に加入しなければなりません。その時に注意するポイント、特に共済組合の任意継続の仕組みをまとめました。

サラリーマンを辞めて個人事業主になったら原則、国民健康保険に加入

こんにちは、独立未満の中小企業診断士(hiro)です。

2024年3月に勤務先の自治体を退職して個人事業を始めるその準備として、今回は健康保険制度についてリサーチします。

日本は国民皆保険制度を実施しているので、病気やケガの治療費用の負担を軽減するための医療給付を受けるため、職域や年齢により、

  • 健康保険(協会けんぽ、組合健保など、会社員)

  • 船員保険(船員)

  • 共済組合(公務員、教員)

  • 国民健康保険(健康保険、船員保険、共済組合の加入者以外)

  • 後期高齢者医療制度(後期高齢者等)

のいずれかに加入します。

私は公務員ですので、共済組合の組合員になっています。会社員も健康保険と呼び名が異なる以外はほぼ同様の制度ですので、以下、公務員と会社員をあわせてサラリーマンとして説明することにします。

さて、役所や会社を退職すると、原則として、健康保険や共済組合から脱退して、国民健康保険に加入することになります。

公務員の共済、会社員の健保には「任意継続」の制度がある

原則として、というのは、例外として「任意継続組合員(協会けんぽの場合は任意継続被保険者)」として、最長2年間、サラリーマン時代の健康保険に加入し続けることが可能だからです。

また、家族の扶養に入った場合も、自分で保険加入する必要はなくなりますが、今回はこのケースは割愛します。

任意継続の掛金は、退職時の標準報酬月額が算定基礎

任意継続の場合は、退職時の標準報酬月額を基礎として算定されます。
ですので、在職中でも概算の試算をすることができますので、職場の健康保険担当や健保組合などに聞いてみるとよいでしょう。

ただし、それまで会社持ちだった保険料掛金(雇用主負担分)も自分で支払うことになりますから、単純に自己負担がサラリーマン時代の倍くらいにはなってしまいます。

また、一度算定された保険料掛金は、最長2年間の任意継続期間中は変更されません。独立して1年目の収入がゼロだったとしても、2年目に保険料掛金が安くなることはありません。

国保料を算定するときの「所得」に退職金は入る?

一方で、国民健康保険料は前年の所得が算定基礎になりますが、退職所得はこれには含まないことになっているので、退職翌年だからと言って国保料が特段に高くなったりすることはありません。(よかった)

また、毎年保険料の算定替えがありますので、前年収入が少なければ、当年度の国保料は安くなります。

ただし、国民健康保険には扶養家族という考え方がありませんから、それまで本人の被扶養者として保険証を持たせてもらっていた家族は、それぞれに国保料を負担する必要がでてきます。

扶養家族が多いなら国保より任意継続の方がお得な場合も

任意継続ならば、サラリーマン時代と同様、退職者本人の健康保険を扶養されている家族(被扶養者)も使えるメリットがあります。

任意継続と国保とどっちが得かは、試算して検討してみる必要があります。

任意継続は最長2年、途中で解除できる

任意継続の期間は最長2年です。これを過ぎたら健保、共済を脱退して、国民健康保険に強制加入しなければなりません。

ただし、2年を待たずに途中で任意脱退することも可能ですので、たとえば独立1年後に国保と健保・共済の保険料を比較して、有利な方を後から選択することができます。(ただし、任意脱退すると再度加入はできません)

勤務先の健保担当と、在住地の国保担当課に試算の依頼を

保険料掛金の試算は、自分で計算するか、試算してもらうことが必要です。

国民健康保険は、自分が住んでいる市町村のホームページに計算の仕方と概算早見表がたいてい掲載されているので、これを使うか、役所の保険担当に依頼して試算してもらいます。

健保・共済は職場の担当に聞くか、健保協会・組合や共済組合のホームページを見たり問い合わせたりするのがいいでしょう。

中途退職後の健康保険について、そのポイントをまとめました。
個人事業主になると、それまで会社や職場がしてくれていた保険料納付も自分でやらなきゃならなくなります。忘れずに準備しましょう。

じゃまた!

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