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Foxing - Draw Down The Moon (2021)

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総評: 6/10


事前の期待が新作へのハードルを過度に上げたのかもしれないが、思ったより「普通」の作風だなという印象を持った。少しだけ期待外れの作品。

前作は珍妙であることを至上命題とした作品であった。珍妙でさえあれば良かったので、実際に思いっきり珍妙だったし、珍妙であることに何の力みも無かった。それが好結果を生み出していた。

本作はそこから一歩踏み出し、メインストリームへ勝負をかけた印象。整えられたドラム、シンセサイザーが耳を刺激する。しかしそのせいか、前作にはなかった「余計な思惑」を感じる場面が多い。「フックを作らないといけない」「"オーオーオー"コーラスを入れないといけない」「分かりやすいコードに帰結させないといけない」「一方で珍妙な個性も維持しないといけない」……。先行曲"Go Down Together"に顕著だが、そんな意識を感じてしまう。

それらの「思惑」を抱えながらも一定の質を持つ作品を作った器用さ、それを評価することは出来るだろう。だが、Foxingに対してはそういう評価をしたくなかったというのが本音だ。このアルバムを聴いていると、My Morning Jacket『The Waterfall』、Cymbals Eat Guitars『Pretty Years』、Silversun Pickups『Widow's Weed』、Muse『Drones』といった、「オルタナティヴロックをぶち破るよりも、リーズナブルかつ最大公約数的な終着点に落ち着かせることを選んだアルバム」たちを思い出す。

彼らへの期待が非常に大きいため、歯切れの悪いレビューとなってしまった。実際には10曲40分を一気に聴かせるだけの勢いはあるし、曲も盛り上がり所が分かりやすく、十分にキャッチーだ。一介のエモバンドがメインストリームへ攻勢をかけた作品と思えば、楽しんで聴くことは出来ると思う。






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