Far Caspian - Ways To Get Out (2021)
総評: 8/10
聴いていると心が無性にざわめき、居ても立ってもいられなくなり、友達にすぐ伝えたくなるアルバムというのがある。大学生の時は毎回毎回そういう感情になったけど、最近はそんなことは年に3枚あるかないか。本作はその一つ。
アイルランドのJoel Johnstonによるソロプロジェクト。2018年頃から音源をリリースし始め、本作が1stアルバム。YouTubeでの再生回数が2,000万回に達している曲もある。
アコースティックギターもしくはクリーントーンのギターを軸に、単純な打ち込みとメランコリックなボーカル、環境音が彩る。ギターの繊細で清潔なトーンはミッドウェストエモ、レイジーで覇気の無いスタイルはスラッカーロックにも影響を受けていると思う。
なんてことのないありきたりな作風だけど、とにかくセンスが良く、一音一音が強烈な切なさで胸をかきむしる。誰もが胸に秘める青春の暗く輝く思い出が蘇る。歌詞も音のイメージそのままを歌っている。
やっぱりこういう「孤独」が根底にあるポップミュージックが好きだ。そしてそれを表すのに、やっぱりギターという楽器は効果的だ。ギターは叩きつけて壊すものか?それとも孤独の友達か?後者だと思う人向きの音楽。
3,4,5など、このトーンのギターが弱点のリスナーは多いと思う。