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Knifeplay 『Animal Drowning』 (2022)
8/10
★★★★★★★★☆☆
傑作『Peartly』(2019)以来3年半振りの2ndアルバム。ノイジーなディストーションと虚無のアコースティックを織り交ぜた陰鬱な作風。ボーカルは虚無。静と動を大胆に切替るドラマティックな曲想。
本作ではアコギの比率が増し、さらにストリングスやピアノやシンセも混ぜ、陰鬱なのに何故かほんのり明るいという、薄気味悪い世界を作り上げることに成功している。NothingやCloakroomと同種のバンドだと認識していたが、本作ではむしろMojave 3やPure XやVARに通じる終末感、「美しき桃源郷で迎えるバッドエンド」みたいな世界が広がっている。夢が絶望に侵食されていく。
分かりやすさや完成度はNothingやCloakroomに譲るが、立ち込めるオーラで言えば、両バンドを超えBrand Newに並ぶ異様な存在感を持っている。清らかなサイケアコギに乗せてコーラスを高らかに歌い上げる謎覚醒の"Cold Rain"なんて、明らかにドラッグソング。
「ディストーションギター鳴らしてシャウトしたからロック」「不穏なアルペジオをちょろっと鳴らしたからサイケ」「ボソボソ歌ったからポストパンク」みたいな安直なものが蔓延る今の時代、ここまで瞳孔の開き切ったバンドはとても貴重だ。
中でも、"Promise", "Untitled"は新旧のオルタナティブロックを駆け抜ける本格派の名曲。叫びと祈りが渾然一体となった訳の分からぬ感情。一周回って神々しさすら感じる。雨上がりの切れ間から差し込む日の光が、街を洗う。
いや、6が一番大名曲だわ。イントロの時点で神