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Eat Your Own Head 『Neck-Deep In The Blyth』(2022)
7/10
★★★★★★★☆☆☆
ロンドンの4人組のデビュー作。ヘヴィなアンサンブルが土砂崩れのようにリスナーに襲いかかる。
ギターがこのバンドの一番の売りだろう。エモ経由マスロックのようなフレーズや、メタルの刻みリフ、クリーントーンも織り交ぜるが、基本はグランジのようにヘヴィなリフをヘヴィな音圧でガンガン弾き倒す。とにかく、とにかく弾きまくる。"Pig"の迫力など、尋常ではない。ミックスも良い。豪快な迫力を損なうことなく、分離の良さを実現している。これ以上ない完璧なミックスだと思う。
曲展開は支離滅裂で、意図やねらいを感じない。弾きたいフレーズをひとしきり弾き倒したら、次の弾きたいフレーズに移る。つながりなど関係ない。その遠慮の無さが実に気持ち良い。
ボーカルは感情がノるとシャウトになる。3割シャウト。声や歌い方は時折Kurt Cobainを思い出す。ボーカルメロディに分かりやすさは無い。フックもほぼ無い。歌心や詩情なんてものは、ここでは価値が置かれていない。
影響を受けたミュージシャンとして、Jimi HendrixとRadioheadを挙げている。前者はまあ分かるとして、後者はまだ要素が見えない。個人的には、ハードロックのような芸能音楽っぽさは感じず、もう少し暗く自己本位なオルタナティブロックバンド特有の雰囲気を感じる。今後どう成長していくのか正直よく分からないが、何にも遠慮せず、思いっ切りブッ壊してほしい。
2,5,7,8がシングルになっている。8の終盤のシャウトなんかは爆音と相まって物凄い迫力。意外な構成力を見せる10がベスト。