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Omar Apollo 『Ivory』 (2022)
5/10
★★★★★☆☆☆☆☆
2018年以降3枚のEPを出してきているが、アルバムはこれが初めてとなる。Frank Ocean以降の余白と親密さに満ちたチルR&Bがベースとなっているのは明らかだが、シンセポップ、ソウル、インディロック等、色々な要素を組み合わせている。
特に1〜7は曲ごとに雑多な要素を横断する。Mura Masa風インディギターロック2、Still Woozy風インディポップ3,6、Night Traveler風ナイトポップ7といった感じで、個性や強い印象こそ欠けるが、違和感はなく素直に聴ける。彼の声の良さが統一感をもたらしていると言えると思う。
逆に8〜11では彼のボーカルを軸とした親密で素朴な曲を聴かせる。静かな曲を4曲も続けるというのは挑戦的だしどれも良い曲だが、やや中弛みしているようにも感じる。終盤では、異文化交流的シングル12、オーセンティックなソウル14、Moses Sumney風の音響ソウル15,16などがある。
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本作だけでは、彼がどのようなタイプのアーティストで、何が得意なのかは今ひとつ伝わってこない。薄口な印象が残る。Warnerが期待する次の世界的ポップスターとして、まずは現代ポップシーンのソフトな流行をあてがってみて、適性を見つけようとする姿勢で作られたように感じる。
大事なのは、彼自身がどういう方向性に行きたいかを早く見つけることだろう。"Go Away"のスタジオライブでは、金のかかったセットでの緊張したパフォーマンスを観ることができる。数年後、あのときは初々しかったねと微笑ましく観ることが出来たら良いなと思う。
"Go Away"と"Evergreen"が好き。かたや夜のシンセポップ、かたやオーセンティックなソウルと真逆の曲だが、この中間を絶妙に攻めるアーティストになっても面白いと思う。