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2024年 8-12月 楽しみなアルバム (随時更新)
今年も半分以上終わったが、楽しみなアルバムはまだまだ控えている。むしろ毎年8〜10月が私にとって一番ピーク。取りこぼしの無いよう、改めて整理しておきたい。しばらくは随時更新しようと思う。(下線はレビュー記事にリンク)。
8/17 Christopher Owensを追加
8/21 Drug Churchを追加
9/01 Wild Pinkを追加
9/01 Dusterを追加
9/21 Elias Ronnenfeltを追加
9/24 The Cureを追加
8/23 Fontaines D.C. 『Romance』
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現代最高の若手ロックバンドの一つ。ここまでリリースされている3曲はどれもバラバラなのでサウンド傾向について予想するのは難しいが、注目すべきはY2K丸出しのコンセプチュアルなヴィジュアル。音だけでなくヴィジュアルで何かを意識的にプレゼンしようとする若手(男性)ロックバンドは最近いなかったので面白い。いずれにしても全曲聴くのが楽しみ。
8/30 Wunderhorse 『Midas』
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現代最高の若手ロックバンドその2。Fontaines D.C.に比べるとかなりストレートにロック。ドン引きするほどの実力。映画のような詩世界(※)を持った強烈な名曲。フロントマン=Jacob Slaterの異常な才能には他のメンバーもさすがに気付いており、こうなったらコイツの才能を信じて行けるところまで行ったるわという覚悟と勢いをヒシヒシ感じる。今最もライヴが熱いバンドでもある。これ聴いちゃうとメインストリームロックがショッボイお遊戯会に見えてちょっと情けなくなる。
(※ ”Teal”の歌詞はマジでグッとくる。10代の頃に付き合っていた彼女のドラッグ中毒を直視できない複雑な気持ちと、彼女をぞんざいに扱った周囲の人間への憤りと、ボロボロの彼女に才能を見出されあなただけはドラッグをやめてまともに生きてと説得された男=ボーカル自身の歌。そしてその表現がいちいち詩的)
"And when I was using, she still said she loved me.
Be more of a human, less of a junkie.
You got a gift man, go and be something.
If I was in your shoes, I would be jumping.
And that’s when I felt it, it conquered my heart.
It was the light of a candle, in the depths of the dark.
And there was a fire, it danced in your eyes.
A beautiful world and a beautiful mind"
8/30 Duster 『In Dreams』
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スロウコア/スペースロックの重鎮。8/30に突如リリースされた。まだ少ししか聴いていないけど、相変わらずのデモ集のような茫漠とした殺風景な景色。それがめちゃくちゃ安心する。2曲目と6曲目が特に良い。
9/4 Peel Dream Magazine 『Rose Main Reading Room』
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普通のギターポップだと思っていたら、曲が出てくるたびに意外性と個性が強まり、見逃せない存在になってきている。何らかのジャンルにカテゴライズされる音をやる時に、そのジャンルの定型表現を演奏するので精一杯なバンドと、自分たちの独自の音を飄々と鳴らしてしまうバンドの二つに分かれる。このバンドは後者。
9/6 Pure Reason Revlolution 『Coming Up To Consciousness』
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ポストプログレの雄。Pink Floydは当然のこととして、Talk Talk, Elliott Smith, The Smile, Arctic Monkeysにも影響を受けたと語っている。自分より新しいバンドに影響を受けたと素直に言えるバンドってなんかいい。それはさておき既に公開されている新曲はいつもより更に構成や場面展開にこだわっており、ヘヴィさ一直線ではなくなっている感じ。普通に年間ベストクラスの実力あるので、期待。
9/6 Midwife 『No Depression In Heaven』
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かなり抑え目のドリームポップ。Beach HouseとCigarettes After Sexを通り越してもはや『Pygmarion』の領域に入ってしまっている。アルバムジャケットそのままの残響モノクロ世界。聴きようによっては退屈で凡庸だが、ムードに合う場面で聴いたらかなり刺さりそう。聴く人というより、聴く場面を選ぶアルバムになりそう。
9/13 Foxing 『Foxing』
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2021年の前作はちょっとメインストリームへの目配せが行き過ぎて本来の奇抜さが影を潜めていたなと思うが、本作からの先行曲”Greyhound”は思いっきりFoxing節の猟奇的ですらあるプログレエモドリームポップ。これまではBrand NewとLiarsを足して10で割ったみたいなバンドだなと勝手に思っていたが、もう割らなくても良いような怪作に仕上がっていることを期待。
9/13 Snow Patrol 『The Forest Is The Path』
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中学生の時にハマったバンドなので思い入れは強い。このバンドは名曲はたくさん書いてきたけど、アルバム一枚使って名作を作り上げるトータルアーティスト系ではないため、とにかく良い曲がたくさんあるかどうかが生命線。でも新作が聴けるだけで感謝。
9/13 Nilufer Yanya 『My Method Actor』
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超実力派。R&Bやネオソウルの雰囲気で誤魔化すなんちゃって系が多いけどこの人はそっちには逃げず、あくまでインディオルタナの王道を突っ走るから最高にかっこいい。先行公開されている数曲は無駄にスケールアップされておらず無駄にゴージャスにもなっていない、より突き詰め先鋭化させた最高の方向性。(余談:友達のタイ人にガチで似てる人がいるから何か他人事とは思えない)
9/13 The Jesus Lizard 『Rack』
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軽くホラーなアルバムジャケットが生理的にちょっと受け付けないけど、逆に言えばいまだにこのセンスを持ち合わせているということ。30年以上経ってるのに音があの頃と変わらないどころかむしろ現代のポストハードコアバンドとタメ張れるくらい若返ってるのもなんかオカルトじみている。
9/13 Deadletter 『Hysterical Strength』
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サックスが特徴的な若手バンド。比較されているGang Of FourやTalking Headsのように先鋭さを極めるタイプでは全くなく、むしろ英国パブロック的な大衆臭さが魅力だと捉えている。00年代リバプール周辺によくいた感じ。もっと言えばHard-FiやDead 60’sなんかも近いかもしれない。The Coralのように玄人好みのバンドに化ける可能性も無くはないと思う。正直曲は弱いしバリエーションも無いけど、応援したくなるものを持っている。
9/20 The Voidz 『Like All Before You』
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曲は『Virtue』の残り物という感じでそんなにピンとこない。ガワはエキゾチックだがそれ以上の中身(必然性)があるのかどうか。期待半分・怖さ半分。でもアルバムジャケットはなんかインパクトあって好き。内容良ければレコード買うかも。
9/27 Pale Waves 『Smitten』
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ポップパンク路線はやめ、ちょっとドリーム入ったシンプルなポップロック。今までで一番ロックみの薄い音。ぶっちゃけサウンドはもう何でもいいので、ただただポップな普通の曲を金太郎飴のように量産していってほしい。そういうバンドって意外と貴重だし、時間が評価するから。20年後のティーンエイジャーにこのバンドが再評価される未来は正直全然見える。
10/4 Drug Church 『Prude』
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(8/21追加) 更に豪快になったような。だけど相変わらず少しアルペジオ入れたりとかほんのりオルタナなのが気持ち良い。先行曲3曲も万全の出来。しかしTouche Amore, High Vis, Drug Churchと、10月は完全にハードコア月間(Fever 333も)。
10/4 Wild Pink 『Dulling The Horns』
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ここ10年間のインディロック界の密かなトレンドといえばTom PettyやBruce Springsteenの影響を感じさせるハートランドロックだ。このバンドも昔からその雰囲気があったが、ここに来てそれを強めてきている。ややありきたりな感は否めないものの、基本的なツボは抑えている。爽快なアルバムになりそう。
10/11 Touche Amore 『Spiral In A Straight Line』
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4年ぶりの新作。影響を受けたアーティストリストを見るとハードコアバンドに混ざってPrefab Sprout, Duran Duran, Japan, The Policeのニューウェイヴ系、Galaxie 500, Sebadohのローファイオルタナ、そしてFontaines D.C.の名前がある。こういうリストっていざ作品聴くとどこが?って感じになるから鵜呑みにはできないけど、3rd、4thくらいのThe Policeになってたら歓喜する。とか言ってたらリリースされた新曲はいつも通りのTouche Amoreだった。
10/18 High Vis 『Guided Tour』
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前作のレビューで「あらゆるジャンルを取り込んで進化していきそう」的なこと書いたけど、まさか女性ボーカルをサンプリングしたクラブを先行シングルでリリースしてくるとは思わなかった。しかもそれが板に付いたハイセンスなものというよりは、むしろ00年代UKに多くいたラッド(チンピラ)趣味の域を出ないものなので、正直ピンとこない。でも本作での彼らは服屋さんでいろんな服を試着し続けてる状況だと思うので、最終的にどんな服を買うのか楽しみにしながら、今は素直に色々な着こなしを楽しもうと思う。
10/18 Christopher Owens 『I Wanna Run Barefoot Through Your Hair』
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(8/17追加) 稀代のソングライターによる9年ぶりのソロ作。この人はとにかく名曲を書く能力が高いけど、その才能が十分に認められてきたとは言い難い。このソロ作で改めて世間にそれを知らしめてもらえれば。先行曲2曲は良い。フレンチポップを思わせる”I Think About Heaven”なんかは特に良い。長尺で思いっきり浸れる。
10/25 Elias Ronnenfelt 『Heavy Glory』
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(9/21追加) Iceageのフロントマンによる初ソロ作。私はIceageに関しては初期のハードコア路線よりも後期のオーソドックスなロック路線の方が好きなので、先行3曲のオルタナカントリー路線は大歓迎。曲自体は特別凄いわけでもないけど、この声とオーラがあるだけで良いのだ。
11/1 The Cure 『Songs Of A Lost World』
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何年も前から出す出さないを繰り返してきただけにやっと出るのかという気持ち。新曲"Alone"は『Disintegration』期のゆったりとしたスケールを持つ曲。今の若者にも刺さる感覚をこのバンドは持っていると思うので(だから若いアーティストにカバーされまくっている)、現役感のある作品をリリースしてくれると信じている。
11/1 Thus Love 『All Pleasure』
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刹那を生き急いでいた1stからすると、この新作からの先行シングルはだいぶ余裕と楽しむ姿勢が生まれたような感じ。基本的にアナログ録音したらしい。Televisionのセカンド的立ち位置になるのか? 1stはムードはあったけど曲調は単調だったので、本作でバリエーションが増えていることに期待。
11/8 Primal Scream 『Come Ahead』
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Curtis Mayfieldをアシッドに漬けてからマッドチェスターで踊らせたみたいな、ゴージャスにはなれてもラグジュアリーには絶対なれない彼ら特有の先行曲。この曖昧なベクトルの曲を聴くだけで期待できる。ぜひ変なアルバム希望。