The Electric Soft Parade 『Stages』 (2020)
10/10
★★★★★★★★★★
ブライトンの天才兄弟、7年ぶりの5thアルバム。先月まで見逃していたが、完全にぶっとばされた。まるで初めてCDを買った洋楽1年目リスナーかのように、ひたすら聴き続けている。
母の死を悼む歌詞の下、オールディーズやジャズの雰囲気もまとった実に力強いブリティッシュロックを演奏する。構成楽器はとてもシンプルだしメロディが特別優れているとも思わないが、有無を言わさぬ謎の迫力と意志と説得力があり、圧倒される。完全に覚醒している。7曲で58分と長い曲が多いが、全く冗長さを感じさせない。
ベストソングは、前曲の混沌としたノイズから凛々しく立ち上がる"Left Behind"。澄み切った迷いのない確信。ひたすら歩き続ける。この人たちは消えたと思っても、必ず、より力強いアルバムを携えて何回でも戻ってくる。
色々情報を補足しようと思ったが、この作品の前では説明なんて全く意味をなさない気がしてくる。ただただ心が震える。その体験だけでいい。聴き逃さなくて本当によかった。
4th『Idiots』(2013)もおすすめ。本作とは違い、コンパクトでキャッチーなポップロックが満載されている。"Lily"とか、完璧。