High Vis 『Blending』(2022)
8/10
★★★★★★★★☆☆
あらゆる可能性を秘めている。あらゆる音楽を呑み込んでどこまでも大きくなっていきそうなポテンシャルに溢れている。
リバプール近郊の街で育ち、現在は南西ロンドンを拠点にしている。彼ら自身はロンドンのハードコアシーンから出てきたしライブはハードコアそのものだが、音楽的バックボーンと明確に呼べるものは無いという。また「ポストパンクバンド」と紹介されることが多いが、それには全く同意できないらしい。
実際に音を聴いても、中心となるジャンルが見つからない。全てのサブジャンルの真ん中にいると言った方が良いかもしれない。TurnstileやDrug Churchのようなオルタナ寄りのハードコアバンドに近いかと思えば、Jane's AddictionやPixiesのようなギターも鳴らす。The ChameleonsやThe Missionのようなネオサイケ/ポストパンクバンドのスケールの大きさも感じるし、親しみやすい豪快さは1st期やそれ以前(Monnow Valley Demo期)のOasisにも近い。
それらのバンドもそうだが、やはり心を打ち抜くのは、何がカッコいいとかダサいとか気にせず演奏する音の熱量。純粋無垢で直接的なカタルシス。格差社会の不条理を熱く抉ぐる歌詞。ジャンルありきでボンヤリ音楽を聴いている(私のような)リスナーの目を覚まさせる。
もっともっと良い曲を作れると思うし、もっと個性も出てくると思う。これが代表作には終わらず、これから決定的な名作を作る予感がする。確実に追っていかなければならないバンド。
1,2は間違いなくカッコいい。5はネオサイケみたいなアルペジオで始まるがメロディは思いっきりエモ。6はネオアコだし、7は爽やか切なエモだし、8,9は儚げな雰囲気まで作り出してくる。1,7,9がベストかな。
15:30〜 "Talk For Hours"。相当かっこいい。
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