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Cloakroom 『Dissolution Wave』 (2022)
6/10
★★★★★★☆☆☆☆
基本的には少しコアの入ったシューゲイザーバンドという印象。ボーカルは終始心ここに在らず。広大で荒廃したアメリカの大地を思わせる乾いたサイケデリアを孕んでいることが特徴と言えるかもしれない。冷たい真昼の砂漠で、一瞬意識が遠くなってすぐハッと気付くような、そんな不安定な感覚を持っている。
"Lost Meaning", "Fear Of Being Fixed", "Dissembler"ではハードコアっぽい汚く歪んだディストーションギターを聴かせるが、特に個性的とは言えない。
それらより、もっとフワフワした"Dissolution Wave", "Lambspring", "Doubts"といった曲の方が遥かに魅力的だし上手く表現できているように思う。メロディラインが分かりやすいわけでもないのに聴き通せてしまう魅力的なサイケデリアがある。さながらNothingの儚さとPure Xの土埃を合わせたような。完全に私好みの音。
曲自体の強度をもう少しだけ上げることさえ出来れば、近いうちに密かに素晴らしい名盤を作るのではと思う。追っていきたいバンド。(ちなみにボーカルMartin Doyleは現在Nothingのギタリストも兼任している)
イチオシは2曲目のタイトルトラック。ハイライトは豪快な演奏で繊細なエモーションを見事に表現し切った4曲目。