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最近聴いているアルバム2022.08

孤独と暗晦に満ちた作品群。しかし悲嘆に暮れているわけではない。頭の中にはイマジネーションとクリエイティヴィティと狂気が渦巻いている。



Codeine 『Frigid Stars LP』(1990)

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言わずと知れたスロウコア黎明期の傑作。文字通り、スロウで、コア。シンバルの、スネアの、ギター1ストロークの一撃一撃がズッシリと脳を打つ。一方で弱々しい情けなさ=エモの要素も随所に感じられ、その方面の傑作として楽しむこともできる。演奏の要素自体は後進バンドにそのまま受け継がれていると思うが、ここまで一音一音に迫力と説得力を持たせられているバンドはなかなか見られない。


Low 『I Could Live In Hope』(1994)

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デビュー作。スロウコア。こっちはもっと壮絶。さまざまな音楽的発展を見せる彼らだが、結局このアルバムの静かな地獄のような暗さが一番衝撃的。地獄に堕ちたSlowdiveと言い換えられるかもしれない。亡者の走馬灯。自分と他者が区別できなくなってくる。もう戻れない奥の奥まで入り込んでいく。それらが全て静寂の中で進んでいく。


Mojave 3 『Ask Me Tomorrow』 (1995)

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Slowdiveのメンバーは1995年、別路線の2枚のアルバムをリリースした。エレクトロアンビエント路線が『Pygmarion』で、スロウコア/フォーク路線が本作だ。こちらは別名義となっているが、Slowdiveのアルバムと言って差し支えない内容。優美で哀切な終末感。この名義では5枚出しているが、こんなに終末感漂っているのはこの1stだけ。寂しさこそが最も強烈な感情だと私はつくづく思う。


Eels 『Beautiful Freak』(1996)

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面白いアルバム。Eは悲劇的な名ソングライターで本作にはその悲痛さと実力が込められているが、しかし1996年というUSオルタナロックにとって中途半端な時代にあって、このアルバムは「次世代オルタナアイコン」として半ば商業的に作られた印象がある。これ見よがしなディストーションやボーカルエフェクト、チープなヒップホップのようなビートには、当時のレーベルの思惑を感じずにはいられない。それを差し引いてもエモい名作なのは間違いないが、Eの本当の姿という意味では次作(超名盤)、次々作にフォーカスすべきかもしれない。


Placebo 『Without You I'm Nothing』(1998)

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ギターがいい。エフェクターの種類や斬新さで勝負するタイプではなく、1弦と2弦を両方Cに揃えた独特のチューニングを使った眩惑的なプレイでグイグイ引っ張る。"Pure Moring"では曲調にあわせギタープレイ自体をインダストリアル調に変えてみせ、"Without You I'm Nothing"ではソリッドさと耽美を至極のバランスで併存させた音でボウイをも虜にした。"Burger Queen"での世界が止まったような神秘的なギターは、退屈なブリットポップからは絶対聴こえてこなかった類のものだ。Sonic YouthからInterpolまでをつなぐオルタナギターロックの歴史に残る作品。


Smog 『The Doctor Came At Dawn』(1999)

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スロウコアだが、ありがちなRed House Paintersフォロワーではなくしっかり独自の意欲的な音作りがされているし、ソングライティングの個性がある。「静寂の暴力性」「アコースティックの暴力性」があり、そのスリルにゾクゾクさせられる。私の好きなHappynessやdeathcrashにも影響を与えている。次々作『Knock Knock』が代表作だと思うけど私はこっちの方が密室感がして好き。


Brand New 『Daisy』 (2009)

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あーもうめちゃくちゃカッコいい。次作『Science Fiction』はあっち側にブチ抜けていったアルバムだけど、このアルバムはこっち側で「こういうのが好きなんだろ?興奮するんだろ?」を耳元でぐちゃぐちゃになるまでやられ続けている感じ。"Gasoline", "Sink", "Noro"とか常軌を逸している。切れ味凄まじい。


Wild Nothing 『Gemini』(2010)

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なにもやる気の起きない大学の夏休み。"Summer Holiday"が流れる暗い部屋のカーテンの隙間から青空を見つめていた。「ここではないどこか」へ行きたいのにどこへも行けなかった。でも、そんな悶々としたセピアの日々だって、今の自分にとっては「ここではないどこか」だ。記憶は全てノスタルジーになる。であれば、最高のノスタルジーを未来の自分にプレゼントしてあげたい。


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