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最近聴いているアルバム2022.03


Robert Wyatt 『A Short Break』(1992)

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Mark HollisMark Hollis』、そしてSam Gendel & Sam WilkesMusic For The Saxofone & Base Guitar More Songs』を聴いていて思い出したのが本作。構成要素はパーカッションとピアノとスキャットのみ。不思議な安心感、ノスタルジックな寂しさ、そういった感情が浮かぶ。遥か昔の記憶を呼び起こされるようなアルバムジャケットが最高。



The Smashing Pumpkins 『Adore』(1998)

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バンドや私生活においてドン底の精神面を神秘的なゴシックアルバムに変換。13〜15では母親を亡くした悲しみが堪えきれずに噴出する。1人の人間の失意と覚悟を描いたトータルアートとしてロック史に残すべき作品。サウンド面はもちろん、精神面でもこのバンドはThe Cureの90年代版だったんだなと思う。もう少しだけナイーヴで少年的だったけど。そこも魅力だった。



Deerhunter 『Microcastle』(2008)

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一見シューゲイザーのように純真無垢で現実逃避しているように聴こえるが、根底には徹底的な自己認識と現状認識があると感じる。ある意味では極端に醒めている。終わりが来ることを嫌というほど分かっている。最終曲ではモラトリアムという白昼夢の終わりを全力の轟音で受け入れる。そこに心揺さぶられる。この人達にThe Cureを感じる理由はそこかもしれない。



Tribes 『Wish To Scream』(2013)

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これも同じく、青春という季節の終わりを演者自身が既に自覚してしまっていて、それが作品の表現の軸となっている。大人になる悲しみを「何とかなるさ」という前向きかつ寂しげな笑顔で包み込んでいるのが特徴で、儚げな切なさがある。とにかく"Dancehall"が名曲。今年新作を出すという。バンド解散後ソロで活動してきたJohnny Lloydが今バンドを再始動させる意味、それを確認したい。



Mura Masa 『R.Y.C.』(2020)

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機能的で実用的なクラブミュージックを作っていた男が、こんなに拙くて未熟で青い音楽を作るとは思わなかった。インディロックとは拙さが魅力になり得る唯一のジャンルで、その特徴を最大限に活かした作品。自分のノスタルジーが、誰かのノスタルジーになる。誰かのノスタルジーが、自分のノスタルジーになる。それが本作では実現している。本当に美しいことだと思う。



Paul Buchanan 『Mid Air』(2012)

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The Blue Nileのフロントマン、唯一のソロ作。声とピアノの相性が抜群なのに加え、アンビエントな空気を帯びる管楽器の響きが感動的に美しい。紡がれた瞬間からもう永遠が約束された音楽。単なる音楽を超え、心の鎮痛剤としてかけがえのない存在。リリースされて10年、どれだけこのアルバムに頼ったか。Mark Hollis(Talk Talk)もそうだけど、バンド時代の作品よりソロ作の方がもっと好き。



Orville Peck "C'mon Baby Cry"

Sub PopからSony Musicに移籍し、かなり普通のカントリーポップになってしまった。デビュー作の孤独なインディ感にやられた身としては、こっちに行っちゃったか…とガッカリするが、彼のボーカルを活かすにはこれが最適な方向だよな…という理解もでき、複雑な気分。実際この声をインディにとどめておくのは勿体無さすぎる。アルバム『Bronco』は4月8日発売。



Muse "Compliance"

開き直ったようなシンセのリフが度肝を抜く新曲。この人達の中に「バズりたい」という欲望がどれくらいあるのかが気になる。再ブレイクしたいから80年代ブームに擦り寄ったシンセ音を使っているなら、それでもバズらないのは何だか可哀想だし、逆に全くそんな下心無くこの音を使っているとしたらそれはそれで無邪気すぎて面白い。いずれにしても曲は凡庸、シンセ音以外に語るべきところがなく、Muse流ロックを再定義した傑作"Won't Stand Down"に比べると一段も二段も落ちる。


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