見出し画像

地方のスモールビジネス備忘録。郊外の人気店に学ぶSNS活用法。

岩手県盛岡市の中心部から車で30分ほどの郊外に、とある食料品店があります。このお店のSNS活用方法が、地方の来店型のお店にとって参考になりそうでしたので、どのようにSNSを活用しているのか見てみたいと思います。

どんなお店かというと、新鮮な魚介類や美味しい惣菜が人気の個人経営の食料品店です。大手スーパーとはひと味違う品揃えと総菜のクオリティで、近隣のみならず、1時間以上かけて訪れるファンもいるお店です。

参考にしたいポイントを最初にお伝えすると、「まずは1回来店してもらうこと」に特化した明確なコンセプトに基づいて、SNSの使い分けや投稿内容といった運用ルールを設計し、そのルールに従って粛々と更新されていることです。

SNSの使い分け

このお店が利用しているSNSサービスはFacebook、Instagram、Twitterの3種類で、投稿内容は基本的に同じです。加えてTwitterでは、利用客による投稿のリツイートや、中の人の日常なども投稿されています。

FacebookとInstagramは、お客さんが過去の投稿を遡って見ることを想定した「ストック」寄りのコンテンツとして。一方、Twitterはリアルタイムで情報を消費する「フロー」寄りのコンテンツとして位置付けられています。

投稿内容

基本的には1日1回、写真3〜4枚とテキストが投稿されています。写真は新鮮で美味しそうな魚介類や惣菜が並んでいて、ついつい夕飯のおかずに買いに行きたくなってしまいます。また、商品紹介や店頭に並ぶ予定時間について親近感のある雰囲気のテキストも一緒に投稿されています。

投稿写真の画質について、全国トップレベルという訳ではありませんが、商圏内の競合と比べると明らかに魅力的です。


明確なSNS活用コンセプト

SNSの使い分けや投稿内容を見る限りは何の変哲もない「良い感じ」のアカウントですが、限られた商圏内で商売をする場合に参考にできそうなポイントがいくつかあるのではと思いました。

最も特筆すべきポイントは、SNS活用のコンセプトです。日々の投稿内容を見てみると、SNS運用の目的は「まずは1回来店してもらうこと」に特化していて、その目的に沿ったルールに従って粛々と更新されている印象です。

1回でも食べてもらったり、使ってもらえれば気に入って貰える自信がある、というお店は多いと思いますし、そのくらいの気概と品質が無いとそもそも商売は難しいと思います。その「1回」を実現するにはどうすれば良いかを追求した結果として生み出した形なのかなと思います。


いつ見ても美味しそうなタイムライン

投稿を見るとつい買いに行きたくなってしまうような、新鮮で美味しそうな写真が毎日アップされていますが、悪く言うと代わり映えはしません。その代わり、常にタイムラインにはお店の看板商品である新鮮な魚介類や総菜の写真が並んでいるため、初めて見た人には、必ず美味しそうな写真が目に入ります。

情報発信をするお店側の立場で考えると、フォロワーに楽しんで貰うために直近の発信と重複する投稿は避けたくなるのが心理だと思います。しかし、こちらのお店は自分のお店の強みをひたすら連打しています。


教えたくなるお店、見せたくなるSNS

1回でもお店に行って好印象を持ったお客さんであれば、家族、友人や職場の同僚との会話のネタとして、良いお店を見つけたと教えたくなると思います。そんな時に「良いお店があって・・・」とInstagramのアカウントを見せられた人は、いつ見ても美味しそうな写真が並んだタイムラインを見ることになります。

これは実際に自身も経験していて、お店を知ったきっかけは知人の紹介でした。他の方にオススメする時も同じようにSNSアカウントを開くと、いつ見てもタイムラインには美味しそうな写真が並んでいます。この口コミの威力は相当すごいと、利用者の視点で実感させられています。


また行きたくなる仕掛け

お店にとって、来店したお客さんがリピートしない理由の多くは「なんとなく」「ただ忘れていた」というものです。そのため、お店を思い出してもらうことが、来店促進にとって重要なアプローチとなります。

来店したことがあって好印象を持っているお客さんにとっては、SNSの投稿を飽きずに楽しんでもらうことではなく、思い出して貰うことが最も重要で、ある意味代わり映えしないけれども美味しそうな写真が毎日投稿されている、という状況は理に適っています。

SNSを活かす大前提

ここまで見てきたように、映える投稿をしてフォロワーやいいねの数を増やすのではなく、明確なコンセプトに基づいてSNS運用ルールを設計し、それをひたすら徹底している凄みが感じられました。

最後に、SNSに限った話ではありませんが、宣伝広告、PRを行う前に確認しておきたい大事なポイントを補足しておきます。

①商品が良い
商圏内に競合店があるか。ある場合は、競合店と比べてどの部分がどれだけ魅力的かについて、お客さんが実感できる商品やサービスになっているか。

②写真が良い
商圏内の競合店のSNSがあるか。ある場合は、競合店のSNSと比べて写真の品質(画質、アングル等)が、お客さんに分かるレベルで勝っているか。

どれだけ主観で良い感じだと思う投稿をしても、商圏内で相対的に良い感じでなければSNSの効果が発揮できません。「SNSの効果=商品×SNSコンセプト×SNS投稿内容」の掛け算の合計が、商圏内の競合店よりも大きくなるようなイメージで商品自体とSNS活用について考えていくと、自ずと結果は付いてくるのかも、とこちらのお店のSNSについて見ながら考えさせられました。

今回の内容で、来店型のお店のSNS運用にとって参考にできるポイントが少しでもあれば嬉しく思います。

以上、地方のスモールビジネス備忘録でした。

※追伸※
店名は明記していませんが、もしも店名を教えてという方がいらっしゃいましたら、下記コメントフォーム(返信用メアド必須)や当社SNSのDMにてお気軽にご連絡ください。

ごあいさつ

最後までご覧頂きありがとうございます。

当社は岩手県にて地域密着でやっていましたので、ぜひ他の都道府県の方の感想や意見、お話を伺ってみたいと思っています。

匿名でメールアドレス入力も不要でしたので、「面白かった」「当たり前すぎてつまらなかった」「自分はこう思う」などなど、率直なコメント頂けると嬉しく思います。

また、起業を考えている方や事業を行なっている方からのご質問や「これについてどう思う?」といったお話もお気軽にご連絡ください。


▼コメント用フォームURL
https://consent.town/comment
※匿名OK、メールアドレス入力不要です。