世の中ね、顔か、お金かなのよ-定野司の読むだけで使ってはいけない金言名句集
一刻千金、一攫千金、同じように「千金」で終わる四字熟語に「一笑千金(いっしょうせんきん)」があります。
何がお金になるかって?
女性の微笑みです。
お金に困ってとうとう?
稼ぐ自治体の話ではありません。
男性の微笑みではだめなの?
そこは、ホストクラブの無い時代のものなので、ご容赦ください。
女性に関しては、「女氏無くして玉の輿に乗る(おんなうじなくしてたまのこしにのる)」と言う諺があります。
女性は家柄が良くなくても、容姿端麗なら、お金持ちや身分の高い人と結婚できるという例えです。
こちらは男性の場合、「逆玉」が存在します。
まあ、玉の輿に乗るのが幸せとは限らないのですが~
しかし、ご注意ください。
「傾城傾国(けいせいけいこく)」といって、美女に現(うつつ)を抜かすと内政が疎かになり、城や国が傾き、やがて滅びてしまう。
このような美女のことを「絶世の美女」を通り越して「傾国の美女」と呼びます。
もちろん、自治体財政を預かる皆さんにも当てはまります!
この「傾城傾国」の語源は、漢の時代、李延年が自分の妹を皇帝に売り込むために作った「絶世傾国の歌」にあると言われています。
北方有佳人 北方に佳人有り
絶世而獨立 絶世にして独り立ち
一顧傾人城 一たび顧みれば人の城を傾け
再顧傾人國 再び顧みれば人の國を傾く
寧不知傾城與傾國 いずくんぞ傾城と傾國を知らざらんや
佳人難再得 佳人は再びは得難し
(意味)
北の方に美しい人がいる、その美しさは、この世に類なく、一たび顧みれば、城を捨ててもいい気持ちになり、再び顧みれば、国を捨ててもいい気持ちになる。
城や国を危うくすることはわかっているが、このような美人は二度と手に入らない。
皆さんはそんな美女(美男)に出逢ってみたい?
いいえ、いけません!!
ところで、「傾城」を「けいじょう」と読まずに「けいせい」と読むのはなぜでしょう?
「絶世傾国の歌」から、およそ1600年後のこと。
江戸時代、日本では上級遊女(おいらん)のことを傾城(けいせい)と呼んでいました。
歌舞伎や浄瑠璃の世界で使われていたようです。
そういえば、喜多川歌麿の描いた「当世女風俗通」の中に「北国の契情」という題の浮世絵があります。
「契情」と当て字を使い、これを「けいせい」と読ませていたところから、意味の違いがわかります。
同時に、江戸の「粋」を感じることもできました。
そうです、私たちは、玉の輿と遊女を混同していたのです。
同じ美女でも上級遊女は「けいせい」、傾城傾国の美女は「けいじょう」なのです。
それでも、国語辞典には「けいじょう」と読むのは誤りと明記しているものが数多くあります。
どなたか、「本当は違うぞ!」と言ってやってください。
さて、今回のタイトル「世の中ね、顔か、お金かなのよ」は、上級遊女の話でも、傾城傾国の美女の話でもありません。
タイトルを平仮名にして続けて読んでみてください。
「よのなかね、かおか、おかねかなのよ」
今度は一文字ずつ、後ろから読んでみてください。
「よのなかね、かおか、おかねかなのよ」
左(上)から読んでも、右(下)から読んでも同じです。
これを回文と言います。
短い回文には、「トマト」「キツツキ」「新聞紙」「闇の飲み屋」「竹藪焼けた」「ニワトリと、小鳥とワニ」などがあります。
子どものころ、こんな言葉遊び、しなかったですか?
「世の中ね、顔か、お金かなのよ」は15文字の、ちょっと長文です。
上には上があります。
「松茸摘みに来て、奇跡的に見つけた妻」(21文字)
松茸は山で採れますから、この妻は何か理由があって山中にいたものと思われます。
家出でしょうか?
それとも認知症とか?
上には上があります。
「私、毎日着てくもの、ひたすら「友に」と差し出し、里(さと)に戻らず旅の目的地に居ましたわ」(45文字)
濁点は無視していいルールです。
意味の難解な部分もあります。
なんと日本一長い回文は1395文字とか。
知りたい方はネットで検索してみてください。
最後に、私のオリジナル作品をご紹介します。
恒例のカラオケ大会での一コマです。
「つかさ喉の差勝つ」(つかさのどのさかつ)
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