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オペラ 小公女『セーラ』日本語公演(2019/6/16)

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『オペラ 小公女『セーラ』日本語公演』 に伺いました。(2019/6/16@板橋区立文化会館 大ホール)

このオペラはF.E.H.バーネット『小公女』をもとに猪間道明さんが作曲、台本制作した3幕の日本語オペラです。総監督はメアリ・ミンチン院長も演じた水島恵美さん、舞台演出は林永清さん、指揮は成田徹さんで、14人の登場人物、そして26人の奏者がオーケストラピットに入り、2時間30分近いオペラ上演が行われました。

舞台はロンドン。富豪の娘セーラが「ミンチン神聖女学院」に入学することで物語は動き始めます。身分の違いで分け隔てることなく友達を作り人望厚く、学園生活を送るセーラでしたが、父親の訃報で女学院での立場は苦しくなり下働きをして過ごす生活になります。しかし、希望を捨てず気高くふるまうセーラ。オペラはイギリスの優雅な雰囲気をたたえ、登場人物の葛藤を表す象徴的なモティーフがちりばめられ、とても密度の高いものでした。大枠は伝統的なオペラのスタイルを踏襲しつつ、口ずさめるようなメロディーが随所に現れる一方、セーラの父親の訃報が伝わる1幕の衝撃的な幕切れと2幕最後の友達とささやかな幸福を歌う場面の対比、ドラムなどのバンドを取り入れた音楽など、刺激的な部分も多くとても素晴らしい内容にあふれたオペラでした。

このオペラの特徴は女学院を舞台としているため出演歌手に女声が多いということも挙げられます。主役のセーラは宮入玲子さん、メアリ・ミンチン院長は水島恵美さん、アメリア・ミンチンは長野佳奈子さん、ベッキーは梅澤芳野さんでした。その他に稲見裕美さん、菅原直子さん、内田裕見子さん、今仲敬子さん、谷口彩子さん、天田清美さん、遠藤怜子さん、男声陣は林永清さん、稲見浩之さん、斎木智弥さん、橘茂さん、坂本嘉之さん、濱田 翔さんの出演でした。

それぞれ役ごとの性格描写が丁寧で、またホールの最後列でもはっきりと日本語の歌詞が聞き取れるオペラ作りはとても素晴らしかったです。舞台演出もいくつかのパーツを効果的に活用し、最大限の効果を引き出すアイディアに満ちており、初めて接するオペラでもあらすじが分かりやすく理解できました。ぜひ再演を期待したいと思いました!

皆さんもぜひコンパスを使ってコンサートをお楽しみください!


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