昼下がりの響きと情熱 〜 Trio Misterioが紡ぐタンゴとクラシックの世界へ
「Trio Misterio タンゴ×クラシック〜悲しみの三重奏〜」に伺いました。(2024.11.09@加賀町ホール)
Trio Misterioのメンバーは国内外で輝かしい実績を持つ演奏家たちです。ヴァイオリンの服部佐知子さんは「高嶋ちさ子12人のヴァイオリニスト」元メンバーとして活躍し、近年はヴィオラ奏者としても活動の幅を広げています。チェロの清水唯史さんはサントリーホール室内楽アカデミー出身で、国際室内楽コンクールでも受賞歴を持つ実力派。ピアノの藤原新治さんは、リスト音楽院で最優秀卒業後も数々の国際コンクールで評価を得ており、教育者としても精力的に活動中です。
この日の演奏は、そんな三人が一体となり紡ぎ出した情熱と技巧の饗宴でした。プログラムは多彩で、ピアソラの「鮫」や「アディオス・ノニーノ」、ラフマニノフの「悲しみの三重奏曲」など、どれも心を揺さぶる選曲。特に「ブエノスアイレスの四季」では、ピアソラが愛した故郷の四季を表現した旋律が耳を通じて心に響き、異国情緒と哀愁をたたえたメロディが場を圧倒しました。
それぞれの楽章が季節を映し出し、タンゴならではの情熱と哀愁が感じられました。実はこの曲、ヴィヴァルディの「四季」からインスパイアされていて、ピアソラが故郷ブエノスアイレスの季節の移ろいを音楽で表現しています。タンゴのリズムが各季節ごとに異なっていて、ブエノスアイレスの街を巡っているかのような感覚でした。
ヴァイオリニストの服部佐知子さんは、情熱的で、細やかな表現が印象的で、ピアソラの音楽を完璧に引き出していました。チェリストの清水唯史さんは、しっとりとした音色で「孤独の歳月」を奏で、その物語を語りかけるよう。ピアニストの藤原新治さんもラフマニノフとピアソラの魅力をしっかり伝えてくれ、力強くも優しい演奏が会場を包み込みました。パガニーニ狂詩曲の第18変奏に関する解説もとても興味深かったです。
アンサンブルの完成度が高く、特に三人の息の合った演奏が心に残りました。観客としても、曲が持つ迫力と深みをじっくり楽しむことができ、最後まで夢中になって聴き入ってしまいました!
コンサートの詳細は下記からご覧になれます。
https://conpas.me/concert/detail/id/1859/