商品写真に疲れたからプロに依頼してみた
こんにちは。
minneでハンドメイド作品を販売しているコノカです。
一年前の話を遡ってお話します。
意味があったことだったか、やっと報告することができます。
今回はフォトグラファーに商品撮影を外注した時のことを書きます。
これがね、、、結構苦労したんです。
大変だったけれど。
「商品撮影をフォトグラファーに依頼する?」
と迷っている人の背中を押すつもりで書いています。
売上を出すために重要なのは、8割が写真。
写真が全て。
お客様は、minneでお買い物をするとき、キーワードを打ち込んで商品を探します。
例えば、「ベビー袴」と検索する。
すると、競合(同じものを作っている作家さん)のベビー袴の写真がズラッと並ぶんです。
他のショップと比べて、圧倒的に目を惹きつける印象を得ないとクリックされない。
他の作家がしていることはしません。
カメラの技術が進み、minne作家の写真のレベルが上がっているからこそ、みんなと違うことをしないと見つけてもらえません。
アングル、色味、雰囲気、小物、表現、、、
出過ぎる杭になって、お客さまを魅了できれば、高単価な作品も売れると思いませんか?
私の趣味は一眼レフ歴10年ですが、物撮りを勉強して2年でした。
まあまあいい写真は撮れていたの。
それでも、自分のステージを上げるために、外注を決意したのです。
フォトグラファーに発注した結果
「フォトグラファーに依頼するのって安くないよね〜
撮影料のもとは取れるのかしら??」
気になると思うので、かかった費用と結果をまとめますね。
撮影したのは去年の9月、私にとってオフシーズン。
撮影が終わり写真データを入れ替えても、すぐに売上に大きな影響にはなりませんでした。
発注した結果、変化は2つありました。
70,000円が1,000,000円を生んだのです。
フォトグラファーの外注に前のめりになりませんか?
でも、楽しいことばかりではありませんでした。
すっっっごく大変で、心身疲弊しました!
私が体験した山あり谷ありをお話しします。
商品写真を外注しようと思ったきっかけ
「ベビーアイテムを販売しているので、ベビーの使用している写真が撮りたい」
これが、私一人で撮影をまわすと、半端ない労力が削られる。
めちゃくちゃ大変。
子供や大人ならまだしも、赤ちゃんはお昼寝や授乳のタイミング、機嫌、視線ととてもデリケートな存在。
気分がのらないと、撮りたいシーンも長時間粘っての、奇跡の一枚になります。
モデルに協力してくれる赤ちゃんママにも負担をかけたくなく、気を配ることがたくさんあります。
赤ちゃんを撮るには人手が欲しい!!
ホスト、撮影、ご機嫌とり、商品の入れ替え、雑用が欲しい!!
むしろ、私が場を作って撮影してもらった方がいいのでは?
私のセンスより、フォトグラファーのセンスでもっとすごい写真が撮れるのでは!?
プロフェッショナルな人とお仕事をして、刺激をもらって、成長したい!
「君に決めた!」その理由
ある工務店の社長さんの言葉でした。
「お金を払うなら、普段繋がれない格上な人に払いなさい」
当時、OLをしていた私は
「格上の人って高そう〜。どうせならお世話になっている人に払いたいじゃん?」
って思って聞いていました。
その社長さんの言葉がしっくりくるようになったのは、ハンドメイド作家として活動をし、人と関わらずに暮らすようになってからでした。
出会いたい人には、お金を払わないと出会えないんだなぁ。
SNSで繋がりやすい時代になっても、格上の人とは出会いにくいんです。
格上の人は、お仕事に忙しいんですよね。
いくらか払う決意をして、フォトグラファーを探しました。
私は地方都市に住んでいて、なかなか惚れ込むフォトグラファーが見つかりませんでした。
今思うと、こんなド田舎に「ハイセンスな人はいない!」と思い込んでいました。
結構わがままですね。
そしてある日、「ミツモア」で彼を見つけたのです。
※ミツモアとは、くらしからビジネスまでなんでもプロに見積もりを依頼できるプラットフォームです。
ここではそのフォトグラファーさんをミッツーさんと呼びますね。
ミツモアで相場を把握し、フォトグラファーの作品を探す日々。
ミッツーさんの参考写真は私の求めていた空気感がありました。
ニューヨークに行ったことすらない私は、憧れの眼差しでミッツーさんのプロフィールを眺めていました。
この肩書きがいい!
ミッツーさんの撮影料は相場よりかなり高めの設定で、躊躇する自分がいました。
躊躇するけど、依頼するあとひと推しを探します。
Instagramでメッセージを送りました。
「zoomでお話を聞きます」とすぐに返事が来て、翌日にはお顔を見てお話ししていました。
スピード感があって、仕事できる人!!と好印象を持ちました。
もう、好き!!が溢れていました。
打ち合わせでしたこと
翌日の打ち合わせに向けて、私は打ち合わせ資料を作りました。
CANVASでA3サイズに、写真や文章でみやすくしたデータをまとめました。
①撮りたい雰囲気のイメージ写真。
そのイメージ写真のどこがいいか説明文。
光がいいのか、アングルがいいのか、全て言語化して伝えました。
②撮りたい写真の優先順位。
時間単位の単価だったため、超えてしまうことは避けたかったからです。
③それぞれの写真はどうゆう目的で使うか。
ピントが違うと、その写真は役割を果たさなくなってしまいます。
こだわりを伝えるために、商品のどこを撮って欲しいか共有します。
ピントの優先順位や、必要なカットを
④撮影場所について。
私はスタジオを希望していました。
ミッツーさんの意見は、「赤ちゃんがモデルなら、慣れない雰囲気ではおすすめしないよ。コノカさんの自宅で撮影しよう」とのことでした。
ひえ〜、そうなると、徹底的にお片付けしなくちゃいけないじゃない。
心の底では、コンクリート張りのアッシュな空間で、何かいい感じの写真を撮りたかったので、残念な気持ちがありました。
それでも、撮影が終わって振り返ってみると、赤ちゃんの撮影を分かっている人だったなぁと改めて思います。
赤ちゃんも、緊張しますもん!!
泣いちゃいますもん!!
慣れない雰囲気より、おうちの方が和んだのではないかした。
⑤私のブランドコンセプト
どんなブランドで、こんな人の心を使いみたい!
そんな一枚をお願いします、とお話ししました。
写真を見た人に感じさせたい感情について、話しているうちに、私が目標にしているブランドの熱弁に変わってしまいました。
私の求めるものを熱弁した後に、ミッツーは一言。
「まあ、思い通りには行かないものだよね」って、スッパーンとぶった斬られました。
そこで熱が入りすぎていることに気づきました。
写真はナマモノ。
ワクワク3割、不安7割で当日を迎えることになります。
モデルさん選び
広告業界には3Bの法則があります。
ネット販売の先輩が教えてくれたことです。
3Bの法則を知ってから、商品写真の一枚目を赤ちゃんが写っているものに切り替えました。
そこに独自のプラスアルファ
「可愛い顔の赤ちゃん」は圧倒的に目を引く!
赤ちゃんモデルさんを誰に頼むか、頭が痛くなるほど考えて選びました。
売り上げが左右するので、妥協はしたくない。
撮影場所は私の自宅。
友人にはハンドメイド作家をしていることを教えていません。
ママ友もしかり。
「あ~、この子をモデルにしたい…」
やらしい目をしながら、息子の保育園送迎をしていました。
公園に行っても、
「かわいいこはいねぇかぁ―」
と、キョロキョロ危ない人。
instagramでも、近隣のかわいいこをハッシュタグで検索しました。
知らない人を呼び込むことに少し抵抗がありました。
友人にハンドメイド作家であることを知られることにも抵抗がありました。
どちらを選択するか悩んで、最終的に、知人の二組の親子に頼むことに。
決定した理由は、3つ。
赤ちゃんの顔
ママさんの人柄
赤ちゃんの活動のスケジュール
この二組には面識がないものの、品のあるママさんたちで、気が合うと思ったんです。
「ご協力してくれるなら、楽しい時間を過ごしてほしい」
私の小さな願いも叶い、撮影が終わる頃には、連絡を交換していました。
後日、彼女たちはお出かけをしたりする関係になったと知り、ご縁をつくれて嬉しくなりました。
そして、二組のモデルさんを用意してよかったです!
ひとりの赤ちゃんは、普段以上の人見知りを発揮し、終始撮影ができなかったのです。
せっかく来ていただいたので、商品写真につかってあげたかったのですが、、、
もう一人の赤ちゃんが頑張ってくれました。
念の為って、大事ですね。
ディレクション初体験
ミッツーとの打ち合わせの時、
「ディレクションはお願いします」と言われした。
ディレクションってなんだ?
よくわからずに、了承してしまいました。
撮影現場は私の家ですし、私の商品の撮影ですし、モデルさんは私がご用意したし、ディレクションは私の役割でした。
建築のデザイナーをしていた時の出張打ち合わせに似ているものを感じました。
多分できる。
できるとは思って、当日を迎えました。
「ディレクション+子どもをあやす」
できたけど、すっっっごい疲れました。
撮影の時間が決まっていたので、「商品や使える小物は、出しておく、並べておく」を徹底しました。
この時ほど、段取りを完璧にしていて良かったと思ったことはありません。
撮影しているうちに用意する、は考えられない。
制限される時間の中で、人と仕事をする感覚を再認識しました。
ハンドメイド作家は、ついついのんびりマイペースになってしまいますからね。
普段使わない脳がフル回転した感じでした。
その場にいる人の状態に気を配りつつ、求める瞬間を写真に残してもらい、時間を把握しつつ、フォトグラファーの技を盗みたいのですから。
フォトグラファーの技を盗む
私は、お金を払って、ミッツーの「フォトグラファーの技を盗む」つもりで挑みました。
ミッツーから商品写真という成果物以外のものもいただけるはず。
①打ち合わせのスピード感
実際に、ミッツーは、打ち合わせが早い。
すぐに電話をくれるし、無駄話がありません。
どんどん決まっていくので、私もその勢いに答えたくて、資料を準備して一度の打ち合わせでしっかり決めることができました。
仕事に追われている人と仕事をすると、女子の馴れ合いトークとは違い、時間は有限であることを実感します。
②冴えないベランダが宝の山
ただのマンションのベランダです。
植物を育てていて、夫の趣味のアウトドア用品が置いてありました。
アウトドア用品の木のテーブル、焚火用トング、焚火用グローブ、、、
薄汚れたそのアイテムを、ミッツーは「かっこいい!」と言って小物として配置し、撮影を始めました。
「こうゆう雰囲気も面白いんじゃない?」
そんなものを!?と、びっくりです。
私は見向きもしていませんでした。
オリーブの木の枝を「折れるのでは!?」というくらいひっぱって、影を落としたり、手前でぼかしたり。
ベランダで撮れた写真は、女性のハンドメイド作家が撮らないような、ダンディな一枚でした。
男の子ママの印象に残る一枚です。
子供向け作家さんの他の作品と並んだ時に、明らかに差別化される一枚でした。
この撮影がきっかけで、私もベランダで商品を撮るようになりました。
ベランダで撮影した一枚がminneの特集掲載に載った時、minneも他と違う世界観を選んでくれたように思いました。
ベランダがいいとか、ダンディーがいいとかではないんです。
他と違う雰囲気って目を引くってお話です。
③部屋の光の入る向き
ミッツーは打ち合わせでも、間取りや光について何も聞きませんでした。
「光の傾向とか、窓とか、リサーチは必要ないの?」と不安に感じた。
そこはプロ。
全然問題なかったようで、どんな空間でも撮影してきた経験を感じました。
さて、我が家に来てもらって撮影することで、ミッツーがどう撮るか学ぶ。
同じ空間で、プロが撮ると、何か変わるのだろうか?
ミッツーは同じ向きに赤ちゃんを寝かせていたので、気になって質問しました。
「こっちの向きで撮る方がいいですか?」
ミッツーは
「そうだね。今後自分で撮るときも、赤ちゃんの頭はこっちむきがいいね」
この部屋だったら、この向き。
このテーブルだったら、この向き。
minneに商品写真を並べると、光が左上から当たるように揃いました。
ミッツーさん、すごい!
光の向きが揃うだけで、違和感のない気持ちい気色が並ぶのです。
揃うって美しいですね。
今まではアングルだけ揃えていました。
今は、光源の向きにも気を配れるようになりました。
家で撮影すると、全部パクれる!!
こんなはずじゃなかった案件
写真撮影はナマモノです。
特に赤ちゃん相手だと、思い通りにいきません。
こんなはずじゃなかったと思うことは二つあります。
①スタジオで撮りたかった!
赤ちゃんの緊張を少しでも軽減することを選んだんですが、スタジオ撮影は憧れます。
ミッツーは背景紙や撮影小物を持たずに、キャリーバックひとつで登場しました。
随分、身軽で来たな、、、という印象です。
私の家が超絶散らかっていて、生活感が溢れかえっていたらどうするんだろう?
いや、きっと、プロのミッツーならなんとかしちゃうんだろうな。
②納期が1ヶ月遅れた
実は、随分心にダメージを受けました。
撮影までは動きのいいミッツーが、お金を振り込んだと同時に動きが鈍くなったんです。
一夜明かしたら雑に扱われる彼女のような気持ちになりました。
納品、されるんか?
この時心がけたのは、催促は形が残るようにしました。
仕事をする上で、「言った言わない」のトラブルは起きないようにしています。
ハンドメイド作家だからなめられたのかな、とか、
音信不通でトラブルがあったのかな、とか、
心配したり、心が動きました。
お客様に対して、納期を必ず守るつもりで切磋琢磨していたので、
ショックは大きかったです。
「次も、一緒に仕事をしたい!」というリピーター魂は消えてしまいました。
反面教師として、信頼がリピートにつながることを、お客様対応につなげます。
人と仕事をするということ
ハンドメイド作家はずっと独り作業です。
産後、人と関わることや話すことも忘れているので、人とお仕事で関わる時間は貴重です。
普段関われない大先輩と関わりたい。
その方から刺激が欲しい。
刺激を受ける相手を選びたいし、その人にお金を払うってちょっと高くても気持ちよく支払いができるようになります。
商品の資材や、梱包品などの他に、誰かに依頼するのであれば、その人と縁を買うことを意識してみてはいかがでしょうか。
「誰から買う」とは、まさにこのこと。
その人との縁を買って、この先何かあるかもしれないし、ないかもしれない。
種を撒くようにお金の使い所を判断していきたいです。
終わりに
有名な建築家 安藤忠雄さんの言葉で、気に入っている一言があります。
設計図を書いて、施工して、完成した建築物を目にして
「こうなったんだ、を楽しむ」という言葉でした。
インテリアデザイナーをしていた私も設計図を描いて、イメージ通りにいくように努めていたため、「肩の力を抜いていいんだ」と一息ついた気持ちでした。
建築には一生ものの大きなお金が動くので、正確にイメージを再現したかったんです。
もちろん施工業者のおじちゃんたちは、正確なお仕事をしてくれます。
でも、「なんか違う」が起ることがありました。
「なんか違う」を、楽しむことは、商品撮影でも同じでした。
理想の空間で写真を撮りたいと思っていたので、自分の家が撮影現場になった時は「こんなはずじゃなかった」ともやもやしたこともありました。
実際、手元にある写真は「こうなったんだ」と思う素敵な感じで、ピントも性格で、商品写真として使いやすい写真です。
「こうなったんだ」を楽しむためには、やるだけの準備をして、一度自分の手から手放すこと。
専門家に託すこと。
少し勇気がいるけれど、別の世界が見えるかもしれません。
もし、撮影に悩まれている方がいれば、プロに依頼する方法があることを知ってもらいたいです。
商品撮影のスキルは、写真の撮り方について情報が多く溢れています。
ハンドメイド作家向けの本も出版されていますね。
撮影は、ハンドメイド作家の必要なスキルになってきています。
その一方で、私も長年一眼カメラを扱ってきて、イメージ通りに撮れない理由の一つに「カメラ本体のクセ」や「レンズの個性」に気づきました。
再現できないものはあります。
誰だって苦手があります。
撮影が煩わしいのであれば、商品を送って、フォトグラファーに撮影してもらう方法もあります。
そして、やっぱりオススメしたいのは、自宅(作業場)に来てもらっての撮影です。
住み慣れたこの場所が、フォトグラファーさんによってどう料理されるのか、楽しめますよ。
外注を迷っているハンドメイド作家さんの、背中を押すことができたら幸いです。
またね!