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自分の良さには自分で気づけない

例えば、

「自分の人生はなんてつまらないんだ。」

と言っている男がいるとする。

しかし、

その人が、

困った人を放っておけなかったり、

不正を見逃さず、

当事者にきちんと言及して筋を通していることが、

国宝級に素晴らしいことだと

本人は気づいていない。

なにより、

その人がいるだけで場の雰囲気が和むことにも気づいていない。

例えば、

「自分にはなんの取り柄もない。」

と言っている女がいるとする。

しかし、

その人が自分の子供を見つめる眼差しの温かさ、

佇まいから滲みでる愛情の深さは、

たまたま通りかかったバスの車窓から、偶然その様子を見かけた乗客をも釘付けにしてしまうほどだ。



なんともったいないことだ。

自分の良さはこんなふうに、

自意識の影に隠れて見えないのだ。

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