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いよいよ母を移住先に呼び寄せる

紆余曲折ありながらも

ようやく母の引っ越しを無事に済ませることができた。


そして迎えた移住の日。


実家を発つ最後の朝も、

「私、行かへん!」

と急にヘソを曲げ出して、

一時はどうなるかと思った。



歳を取ると

どうしてこう、

子供返りするのだろうか。



タクシー、電車、新幹線を乗り継いで進む

片道の旅。

駅から自宅まではツレ兄さんが車で送ってくれる。


朝7時に家を出て、着いたのは15時。


実に8時間の大移動だった。


移動中、

母は終始、不機嫌。


なんとも険悪なムードの中、

忍耐力を試される苦行のような時間だった。



とはいえ、

母はまだ70代前半。


お年寄りの中では

まだ若く、体力もある。


今日の移動は疲れたに違いないが、

このタイミングで移住に踏み切ったのは

正解だったのではなかろうか。


いよいよ足腰が効かなくなってからでは、

この長距離移動は相当むずかしい。



自宅に着いてみるとまた、

「私は帰る」

と母が言い出した。


移住については、

今まで何度も話を重ねてきて、

慎重に事を進めてきたつもりだったが、

いざ現実になると

戸惑うのは仕方ない。


やはり機が熟していなかったのか、

私が焦りすぎたのか、

本人が納得しないまま連れてきてしまったのか。


だとしたら

とんでもないことを

してしまったのではないか…


一気に不安が押し寄せる。




認知症になると、

その場その場で言っていることが

一貫しなくなる。


周りからすれば、

どこまで分かっていて、

どこまで分かっていないのかの

判断が付かず、

振り回されることも多い。




「帰る」と言い出す母を

とにかく家の中に招き入れて、


落ち着いてもう一度

今までの経緯を説明した。


「一人で実家に暮らしているよりは、

私の近くに住んで、

施設にお世話になれたほうがいい、

ってお母さんが言ったから、

私はここまで

事を進めてきたんだよ」

と。


どこまで理解してくれるか、

へそ曲がりを止めてくれるのか

分からなかったが、

とにかくもう一度。


すると合点がいったのか、

母の表情が急に落ち着きを取り戻した。


それを見て私もホッと胸をなで下ろす。


大きな決断をするときは、

こうも油断ならぬものなのか。


手探りでやっていくしかない。


今日もどっと疲れた。










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