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アイス最中を買いに

 今年こそは、絶対に買おう!と思っていたのに。
 イベントスペースのショーケースに貼られたフレーバーの案内を見ていたら、気持ちがグラついてしまった。
 ドライアイスは別売りだと知っていたけど、最中の値段まで書いてある……。
 アイス最中なのに、最中の皮は別売り?それとも、アイスクリームだけ欲しいというお客さんもいるから?
 デパートの地下一階をぐるりと回ってから、私は決意を固めると、列の一番後ろに並んだ。
 バニラ、抹茶、ココア、ストロベリー、小豆か。
 バニラと抹茶と小豆にしようと思っていたものの、心が揺れる。ストロベリーのピンクが美しい。
 メモ用紙を持った女性店員さんが、
「何にしましょうか?」
 と注文を聞いている。
 前に並んだ女性が、全フレーバーを二個ずつと、ドライアイスが必要な時間を告げて、ついに私の番が来た。
「バニラと抹茶と、ええっと……」
 ここに来て、私は色鮮やかなストロベリーの魅力に負けてしまった。
「ストロベリーを、一個ずつお願いします」
「はい。ドライアイスのお時間は?」
「一時間ぐらいで」
 女性店員さんは、
「これで大丈夫やわ」
 とケースに貼られたドライアイスの値段を示し、注文を書いた紙をレジの女性に渡した。
「袋は、どうしますか?」
「このまま、買い物袋に入れたら濡れますか?」
「多少水滴がつくことを気にしなければ、大丈夫」
「じゃ、なしで」
「はい」
「ーー円になります」
 と言われて、私が財布を開いて、デパートのカードを金銭受け渡しトレーに置いたところ、
「それ……」
「あ、すみません!」
 私はファミマのポイントカードを財布にしまって、すぐにカードが出て来てくれることを祈りながら、慌てて財布の中を漁った。その間、私の頭の中では、何故か、笑点のテーマが流れていた。
「こっちだった……」
 デパートのポイントカードをトレーに置いて、ほっとしてると、レジのお姉さんが満面の笑みを浮かべて、
「私もよくやる。似てるもん」
 と言ってくれた。
「ありがとうございます」
「和んだわ」
「……お姉さん、優しい……」
 素早くお会計を済ませ、
「商品が出来たらお呼びするので、このレシートの番号を見せて下さい」
「はい」
 指示された部分が上に来るように畳まれたレシートを受け取ると、私は、私の前に並んでいた女性の後ろに並んだ。
 まだ食べてもいないのに、ゼー六のファンになりそうだった。


※補足。食べてみた感想。私は、バニラが一番美味しかったです。アイスクリンみたいで絶品でした。

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Ko Enomoto
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