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広告制作チームがテクノロジーで業務改善、RunWithTechが広げるビジネス成長のストーリー
みなさん、こんにちは!コネヒト人事の芦刈です。
2024年7月にコネヒトのエンジニア組織及び技術領域において、何を大事に・何に投資していくかといった未来の構想や方向性をまとめた「Tech Vision」のPhase2がスタートしました。
現在は、その戦略の一つである「Run with Tech」※1を推進しており、エンジニアとビジネスサイドが一体となって、新たなテクノロジー活用に挑んでいます!
今回は、「Run with Tech」のチームメンバーであるエンジニアの吉田(@yosshi8448)と、広告制作業務を担当する盛永にインタビューを行いました。
生成AIを活用した広告制作業務の改善事例をお届けします!
※1 Run With Techとは?
コネヒトでは、Tech Visionの中でBeyond a Tech Companyというビジョンを掲げており、「Run with Tech」はこのビジョンを実現するために設立されたプロジェクトチームです。
Run with Techでは、コネヒトのメンバーのテクノロジー活用におけるスキルアップの支援、およびスキルアップできる環境を整備することによって、BizやDevに関わらず、全てのコネヒトメンバーがテクノロジーの恩恵を受けられる状態を作り出すことを目指しています。そしてその状況を作ることで、世の中のテクノロジー進化の恩恵を社員が最大限に受けながら、全てのステークホルダーにも価値を提供することを最終的な目標としています。
直近では、主に業務における生成AIの活用支援や、テクノロジーを活用した業務改善などに取り組んでいます。
2人の経歴を紹介
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2012年に新卒でメーカーに入社し、企画職として
製品企画・営業企画・社内業務改善プロジェクトなどに従事。
その後正社員として勤務しながら副業でエンジニアとして働き始めたことをきっかけに、
本格的にエンジニアにキャリアチェンジ。
2023年7月コネヒト入社。
現在はCTO室に所属しインフラエンジニアとして業務をしつつ、社内業務でのテクノロジー活用・業務改善を推進するプロジェクト(Run with Tech)のメンバーとして活動している。
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2015年にRetty株式会社に入社し、メディア側での業務を経験した後に
営業企画グループへ異動、カスタマーサクセスとして従事。
その後、より規模の小さい会社で様々な経験を積みたいという思いから
ソーシャルゲームを運営するスタートアップへ転職し人事や広報業務を経験。
2019年2月にコネヒトに入社し、広告制作ディレクターや採用担当を経験。
現在は広告制作業務を担うグループのグループリーダーに従事。
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ママリらしさを大切に、
広告制作をもっとスムーズに、クリエイティブに
ー 広告制作業務の制作過程で生成AIを取り入れた背景を教えてください
吉田:2023年12月にRun with Techが始動し、社内にも生成AI活用を浸透させていく中で、広告制作チームのコンテンツデリバリー(Webの記事制作、バナー制作、SNS活用等)に多くの工数がかかっていることを知りました。
広告制作チームは、常にユーザー・クライアント・コネヒトの3者が満足できるように、コンテンツ制作に向き合ってくれているのですが、コンテンツをリリースするまで多くの工数がかかっていることを知り、生成AIを導入することで業務工数の削減や制作スピードの向上、クオリティの改善ができるのではないかと思いました。
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盛永:今後広告売上を更に増やしていくためには、1人あたりの生産性をあげる必要があります。
記事制作一つを取っても、ただ文章を書くだけにとどまらず、実際には多くのタスクが絡み合っていて、非常に手間がかかるのが実情です。そのため、広告制作のプロセスを見直すことで業務工数を減らせないかなと思っていました。
以前から吉田さんに生成AIを活用した業務改善のアイディアをもらっていたのですが、業務改善の必要性は感じつつも、「プロのクリエイターである私たちだからこそいい広告が作れる」という自負もあったので、生成AIで大きく改善することは難しいのでは?と正直半信半疑ではありました。
吉田:実際にそう感じているんだろうなというのは伝わっていました(笑)
ただ、盛永さんの会話から「業務改善したい」という思いも伝わっていたので、生成AIを使うことによってどのようなアウトプットが出せそうか一旦共有してみようと思いました。
アウトプットの質が低くならないように、また「ママリらしさ」が失われないように気をつけながら、盛永さんの熱が冷めない内にスピード感を持って共有したことを覚えています。
盛永:そのスピード感とアウトプットの質の高さに感動したのを私も覚えています。
ママリの広告制作で大事にしている「ママリらしさ」はもちろん、”広告”なので、クライアントの意図を汲むことも必要です。
吉田さんの生成AIのアウトプットをみて、ママリの広告制作に生かせるのではないかという可能性を感じました。
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「生成AIをどう使いこなす?」
チーム全員での挑戦が生んだ変化
ー どのように生成AIを活用したのでしょうか?
■概要
2024年4月初旬:広告制作チームへ生成AIのチームアカウント付与
2024年5月中旬:対応方針の見直し、広告制作チームのデイリーチャレンジ開始
2024年6月中旬:デイリーチャレンジ終了
2024年6月下旬:全社内に向けて成果報告会
吉田:具体的に業務に盛り込んでもらうため、まずは2024年4月に生成AIのチームアカウントを提供し、生成AI自体の理解を深めるためのワークショップを開催したり、どういうプロンプトが効果的なのかをSlackで共有しました。
生成AIは非常に便利なツールなので、当初はアカウントを提供することで、ある程度使ってもらえると思っていたのですが、正直最初の1ヶ月はこちらから一方的に情報を伝達するだけで、広告制作チームが業務の中で生成AIを活用する状態になっておらず、反省点が多かったです。
盛永:生成AIを活用したいと思っていたのですが、これまで長い期間やってきた方法を変えることのハードルは高く、また、チームメンバー全員が実際に生成AIに触れてきたことがなかったため、生成AIで業務改善できるイメージが湧かなかったことも要因となっていたと思います。
吉田:生成AIの活用がなかなか浸透しないことに加え、当時は、こういうことをやりたい!という広告制作チームの依頼に基づいて僕が対応するという依頼者と対応者の関係になっていたという課題もありました。このままだとなかなか自分ごとにならず、Run with Techで達成したい「コネヒトメンバーがテクノロジーを使いこなす」という状態にはならないなと感じていました。
1ヶ月間このような状態が続いていたので、一度コミット方法を変えようと考えました。5月中旬くらいに盛永さんをお呼びして、どうすれば活用できそうか、自分の意思を伝えた上で、改めて議論させてもらいました。
具体的には、「自分もしっかり並走すること」、「目標を決めた上で一定期間ある程度コミットして欲しいこと」を伝えたと思います。
盛永:吉田さんから話があると言われた時はドキッとしました(笑)
ただ、吉田さんからの「生成AIを活用することで業務改善できる」という熱量が本当に高く、吉田さんがコミットしてくれるならしっかりチームで生成AIを活用して成果を出したいと本気で私も強く思うようになり、広告制作チームで「デイリーチャレンジ※2」という取り組みを始めました。
また現場のリアル感をキャッチしながらチームに生成AIを浸透させるために、推進メンバーを2人立てました。この2人のメンバーにはデイリーチャレンジのお題を考えてもらったり、デイリーチャレンジで出てきたものを実際に利用できるように形を整えてもらったりしました。
※2「デイリーチャレンジ」の詳細
・1ヶ月間、広告制作チームの定例MTG内で毎日15分間生成AIに触る時間を作る
・日替わりで実業務に関連するお題を設けて、各メンバーがそのお題に対して回答を得るためのプロンプトを考える
・その日の担当者を決めて、考えてきたプロンプトと出てきた回答をチーム内でシェアする
・出てきた回答を踏まえ、吉田がプロンプトに関するフィードバックを行う
吉田:強制的に生成AIに触れる時間を作ることで、生成AIはそこまで難しくないものだということ、活用することでのメリットを感じてもらえたのではないかと思います。
また、盛永さんが、取り扱うお題の難易度を徐々に上げるような設計にしていて、プロンプトを工夫しなければ良いアウトプットにならないようになっていたので、広告制作チームの生成AIスキルがどんどん向上していったのを僕自身も体感していました。
あとはデイリーチャレンジの中で、それぞれが書いたプロンプトに対してチーム内で「もう少しこうしたら良いかも!」というフィードバックを伝え合っている姿が、相互にレベルアップしている感じが伝わってきて、本当に嬉しかったですね。
盛永:自分が書いたプロンプトからいいアウトプットが出てくるのを体感できたことをきっかけにチームメンバーがどんどん生成AIを使いこなせるようになり、私も嬉しかったです。
また吉田さんが毎日MTGに参加してくれていたので、クイックにその場で疑問点を解決でき、小さな成功体験を蓄積できたことが大きかったと思います。
毎日向き合い続けることって、簡単なようですごく大変なことだと思うので、本当に感謝でいっぱいです!
吉田:こちらこそありがとうございます!
盛永さんをはじめ、全員が主体的に取り組んでくれるようになっていったのが嬉しかったです。
途中から僕がいなくても新しい生成AI活用のアイデアがどんどん出てきている状態だったので、さらに活用できるように生成AIの発展的な使い方のレクチャーも行いました。
6月に広告制作チームが全社向けに成果報告会を設定してくれたことも印象深い出来事です。
そして実際に業務に導入されることで、実数値として業務工数の削減につながったり、削減できた工数を使って別部門へのフォローにまわる動きをしてくれたこともとても嬉しかったです。
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生成AIが当たり前に、継続する挑戦
ー デイリーチャレンジ、成果報告会が終わってから3ヶ月経ちましたが、今のChatGPTの利用状況はどうでしょうか?
吉田:生成AIに関する疑問を解消する専用のSlackチャンネルを作っているので、何か困った時にフォローできる体制は整えています。
実際にこの数ヶ月を通して、広告制作チームとの関係値ができたからこそ、テキストコミュニケーションでも遠慮なくやり取りできるようになりましたし、実際に発展した生成AIの使い方や、こういう目的を達成するための方法はないかなどの相談が来ることが増えたと思っています。
盛永:デイリーチャレンジのおかげで生成AIをどの作業で活用するのが相性がいいのか、具体的に解像度が上がったので、吉田さんが言ってくれたように「もっとこうできるのではないか?」というアイデアが出る状態になったなと思っています。
全て生成AIに頼るのではなく、広告の構成のアイディア出しや、スケジュール案などを壁打ち相手として利用しており、今では生成AIを使わないという選択肢はないと実感してます。
また継続的に使うことで生成AIをもっとみんなの当たり前にしたいと思っているので、現在は日々活用事例を蓄積し、月次で生成AIの活用報告会を実施しています。
吉田:継続的に活用してくれて安心しました。(笑)
あとは広告制作チームの取り組みや生成AIのノウハウを営業チームにも展開してくれており、今度は教える側に回ってくれていて本当に心強いと思うとともに、組織全体にテクノロジーの活用が広がってきていることを実感しています。
ー ありがとうございます!最後に今後の気持ちをお聞かせください。
吉田:Run with Techは、冒頭お話しした通り「世の中のテクノロジーの成長と共にコネヒトも成長し、新たな価値を生み出しステークホルダーを喜ばせる」ために取り組んでいます。
エンジニアとしてだけではなく、ビジネス職の経験があることは自分の強みだと思っているので、生成AIというテクノロジーを通してビジネス課題に切り込んでいくことで仕事のクオリティをあげるということが成果として出せたのはよかったなと思います。
今後も生成AIに限らず様々なテクノロジーの恩恵を受けられる状態を目指して、活動を継続していきたいと思っています。
盛永:最初は遠い存在だった生成AIが、今では業務改善で使わないと勿体無いと感じるまでの距離にいることに自分自身も驚いています。
この距離感になれたのは、日々ChatGPTに触れ続けたこと、短期間で成功体験を積み重ね、私たちの広告制作へのこだわりポイントを体現できるレベルまで引き上げられたことだと思っています。
そして私たちが生成AIの活用で成果がでた様に、他のチームでも活用できるチャンスがあると確信しています。
現場のリアルがわかる人が生成AIを広めていく方がより良い機会を提供できると思うので、今後は広告制作チームが生成AIの活用を広めるロールモデルになっていきたいです。
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