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CORSIA適格ユニットの動き
毎週届く、ACXのメルマガ。
世界のカーボン・クレジット市場動向がわかるので、重宝しています。
ACXとは、2023年1月に設立された、シンガポール拠点のカーボン・クレジット取引市場で、全ての取引がオンラインで完結する完全ウェブベース市場です。ブロックチェーンを活用して取引の透明性と信頼性を担保しており、様々な種類のクレジット取引が可能です。
加えて、UNFCCCによる承認を受けているため、CERを取引できるという利点があります。世界で2番目、アジアでは初の取引所であり、それだけ、信頼性も高いといえます。なので、ここをウォッチしておけば、ボラクレだけでなく、コンクレの動向もチェックできるので、お奨めです。
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さて、そのメルマガには、毎週の市場動向が掲載されているのですが、平穏な相場の中、唯一「CET」が15.8%も下落しているのが目につきました。
CETというのは、CORSIAのPilot phaseで使用できるクレジットのことです。
(下半分に説明がありますが、小さすぎて見えませんよね)
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CORSIAについては、こちらを参照ください。
(何度もご案内していますが、この回から全て参照できます)
まぁ、簡単に言うと、国際線を有しているエアラインで構成している「ICAO(International Civil Aviation Organization 国際民間航空機関)」が所掌しているETSで、「Pilot phase」「1st phase 」「2nd phase」の3段階で導入することになっています。
そして、それぞれのフェーズ毎に使用できるクレジット(eligible scheme)が決まっており、Pilot phaseで使用できるクレジットが全て1st phaseで使用できるとは限らないことから、調整が行われていることが一因ではあります。
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ですが、「相当調整」の影響も無視できないと、個人的には考えています。
相当調整(CA:Corresponding adjustment)
全てのITMOsについて、二重計上を回避するための相当調整を適用することが必須です。国によってNDC目標の種類や単位に違いがあることから、それに応じた相当調整の方法が適用されます。協力的アプローチ参加国が単年目標を持つ場合は、暫定的な複数年目標を設定し毎年相当調整を行う方法、またはNDC実施期間に使用したITMOsの平均量により毎年の暫定的な相当調整及び最終年に相当調整を行う方法の二種類が選択できます。協力的アプローチ参加国が複数年目標を持つ場合は、複数年目標に対して毎年相当調整を行う方法が適用されます。
J-クレジットを購入した企業は、温対法の報告において、自社の排出量から購入分を控除した値を「調整後排出量」として報告できることは、ご存知かと思います。
逆に、販売した事業者が、もし温対法の特定排出者であれば、販売分を付加した値を「調整後排出量」として報告しなればなりません。
前者を「オフセット」、後者を「オンセット」と呼ぶこともありますが、このように、一方では差し引き、一方では加えることを、UNFCCCでは「相当調整」と呼んでいます。ダブルカウンティングを防ぐ仕組みなんですね。
1st phaseでは、CAが必須になるところ、現在上市されているクレジットが、果たしてCAを行うことができるか?と関係者が疑問視しているのではと思うのです。
加えて、1st phaseではPilot phaseよりも高い需要が予想されます。昨年のCOP27からルールについての議論は始まっていますが、不明な点も多い。とりあえずは、手持ちをスクエアにしておいて様子見をしておこうという参加者もいるでしょう。
なので、CETだけが15.8%下落して1人負け状態、というのが私の見立てです。
CORSIA適格ユニットは、CDMによるCERやパリ協定第6条4項のクレジット(4.6ER)と同等の「信頼性」があると認識されています。「高品質なクレジット」というお墨付きがついているようなものです。
ボラクレでありながら、「ほぼ」コンクレ。
そんな立ち位置のクレジットなので注目せざるを得ません。
これからも、折に触れご案内していきますね〜
![](https://assets.st-note.com/img/1700123319930-oAFwffEDFf.png?width=1200)
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