FLAG目標設定の実際(3)
「FLAG Getting started guide」のリリースに併せて行われたウェビナーを視聴したので、その内容をご紹介しています。
FLAGガイドラインについては、こちらを参照ください。
なお、いつからガイドラインが適用されるか、その時期については説明がありませんでした。
これについては、認証の有無、目標提出の時期によって異なりますので、下記を参照ください。
さて、3回目の今回は、ケーススタディのご紹介。
具体的なので、イメージも湧きやすいと思います。
ラインナップは、こちらの3社。
会社A:食品スーパー/SBT認証済み/ネットゼロ目標提出/FLAG目標提出
会社B:繊維会社/SBT初回申請/ネットゼロ目標提出無し/FLAG目標提出
会社C:水産会社/SBT認証済み/ネットゼロ目標提出/FLAG目標提出無し
こんな事業者もFLAGセクターになるんだ?
そう感じた方もいらっしゃるかもですね。
条件を再掲しておきますので、おさらいしておきましょう。
もしかして、自社も対象かもしれませんよ。
さて、会社Aは食品スーパー。「食品小売業」なので指定事業者。
短期SBT(更新)+ネットゼロ目標+FLAG目標の予定。
2020年以前に目標を設定したので、2023年12月31日までに提出します。
コストは、$20,250 となります。
(短期SBT(更新)及びネットゼロ:$12,750+FLAG目標:$7,500)
提出するフォームは、以下の4種類です。
短期SBT:Near-Term Target Update Submission Form
FLAG目標:FLAG Annex
ネットゼロ:Net-Zero Submission Form Part Ⅰ & Part Ⅱ
以下の3つのツール(エクセルシート)を使用できます。
・SBTi Target-Setting Tool
・SBTi FLAG Target-Setting Tool
・SBTi Net-Zero Tool
会社Bは繊維会社。指定事業者はありませんが、スコープ1・2・3排出量のうちFLAG関連排出量が20%を超過するので、対象となっています。
短期SBT(更新)+FLAG目標(新規)の予定。
初申請なので、始めからFLAGセクターガイドラインに従うことになります。
コストは、$17,000 となります。
(短期SBT(更新):$9,500+FLAG目標:$7,500)
提出するフォームは、以下の2種類です。
短期SBT:Near-Term Target Update Submission Form
FLAG目標:FLAG Annex
以下の2つのツール(エクセルシート)を使用できます。
・SBTi Target-Setting Tool
・SBTi FLAG Target-Setting Tool
会社Cは水産会社。スコープ1・2・3排出量のうFLAG関連排出量が20%未満なので、対象外となります。
短期SBT(更新)+ネットゼロ目標(新規)の予定。
FLAG目標は提出しませんので、期限の縛りはありません。
会社Cは短期SBT(更新)及びネットゼロなので、コストは$12,750 です。
提出するフォームは、以下の2種類です。
短期SBT:Near-Term Target Update Submission Form
ネットゼロ:Net-Zero Submission Form Part Ⅰ & Part Ⅱ
以下の2つのツール(エクセルシート)を使用できます。
・SBTi Target-Setting Tool
・SBTi Net-Zero Tool
大多数の事業者は、会社Cに当てはまるのではないでしょうか。
前回お伝えしたように、直接的には関係ないのですが、提出するフォームがFLAG対応となっているため、間接的な影響がある訳です。
エネルギー/産業セクターの排出量と、FLAGセクターの排出量を分けて算定しておかなければ、対象事業者か否かの判断ができません。
食品製造業でなくても、農産物を大量購入しているのであれば、判断基準Bに該当するかもしれません。自社の事業を理解しておく必要がありますね。
今年半ばには、GHGプロトコルの「Land Sector and Removals Guidance」もリリース予定です。SBTiはFLAGセクターガイダンスを整合的なものとするとしているため、改訂が生じるかもしれません。
随時ご案内していきますので、フォロー&スキ、よろしくお願いします。