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SSBJオープンセミナー(7)
3月7日に開催されたSSBJのオープンセミナーで紹介された、「審議の過程で意見が分かれた主な項目」に対する基準案及び代替案の紹介と理由について、ご案内しており、今回が7回目です。
こちらのサイトから、当日の資料はダウンロードできますので、noteと併せて参照ください。
当日説明があったのは、次の「主な9点」です。
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前回は、4つ目の論点までご紹介しました。
今回は、5つ目の論点を説明していきますね。
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まず、ロケーション基準とマーケット基準の理解が必要ですね。
事前配布の資料で、ちゃんと説明されています。
![](https://assets.st-note.com/img/1710322046043-0kaxEOxaqH.png?width=1200)
ここでは、日本企業が報告することを前提で説明したいと思います。
皆さんが、温対法に基づいて電力の使用による間接排出を報告する際には、環境省が公表している、電気事業者別排出係数を使用するかと思います。
基礎排出量の算定の場合は「基礎排出係数」、調整後排出量の算定の場合は「調節後排出係数」を用いますよね。
ロケーション基準というのは、日本という「特定された場所におけるエネルギー生成に関する平均的な排出係数」を用いて算定するということですので、電気事業者別排出係数の最終頁にある「全国平均係数」を使って算定するということです。
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ちなみに、自社が契約しているメニューの調整後排出係数が公表されておらず、小売電気事業者からも提供してもらえない場合は「代替値」をしようしますが、こちらは、使用しているデータが「総合エネルギー統計」であり、改訂がほぼ5年毎になるので、適当ではないです。
他方、マーケット基準というのは、契約している小売電気事業者のメニュー毎の排出係数を使用して算定することであり、具体的には「調整後排出係数」を使って計算するということです。
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なので、国内に限れば、ロケーション基準、マーケット基準いずれであっても、使用すべき排出係数の入手は容易であり、活動量も請求書で把握できるため、国内の事業所のスコープ2排出量算定のハードルは低いと言えます。
これを踏まえて、基準案を見てみましょう。
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ISSB基準は、次のようになっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1710324808632-ee9ewHSmTC.png?width=1200)
ロケーション基準の排出量に加え、契約証書がある場合は、当該証書に関する情報の提供を求めています。これは、機関投資家などの主要な利用者の理解に役立つためだそうです。
なぜこのような立て付けになったかというと、ISSB基準はグローバルで用いられるため、法域によっては「マーケット基準」による測定が困難なことが想定されるとし、代替案として「契約証書に関する情報開示」を求めることにしているのです。
翻って日本は、上述したように容易に入手できる。
なので、基準案は、マーケット基準により測定したスコープ2排出量を開示することで、上記の「当該証書に関する情報」の開示に代えることができるとしている訳です。
これについての代替案は、2つ示されました。
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ロケーション基準及びマーケット基準により算定した排出量の開示を求めるもので、契約証書の情報は不要としています。
SSBJは日本における開示ルールなので、「マーケット基準による測定が困難な法域」を考慮する必要は無いという立場です。確かにそうですよね。ISSB基準を、日本向けにテーラーメードしようとしているのだから、日本の事情に即した基準にすればよい話です。
代替案2は、さらに、日本の事情に即した案になっています。
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マーケット基準のみです。
環境省が毎年排出係数を公表しているのだから、何ら問題無いと。
使用電力量の削減に加え、再エネ比率の高い電力を購入し、スコープ2排出量を削減しようという企業の取組の実態を表すため、これこそ「利用者の理解、判断に資する」という立場です。
温対法では、基礎排出量と調整後排出量、両方報告するようになっていますし、企業としても、自助努力がより明確に見える化されるため、ウェルカムなのではないでしょうか。
個人的には、「日本版S1・S2」の論点では無いのでは?と思ってます。
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ということで、これについても意見募集中です。
それこそ、大企業であれば「マーケット基準一本にしてくれ」なのでは?
皆さんは、いかがでしょうか。
次回は、6つ目の論点、お届けしますね。
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