日本の再エネ導入先進国か?
環境に携わっていなくても、情報の海にどっぷりと浸かっていると、世界的に再生可能エネルギーの導入が急速に進んでいるような感覚になります。
街を歩いていても、新築住宅には当たり前のように、太陽光パネルが載っていますし、至る所にメガソーラー。作る場所が無くて、急斜面などに設置していたため、熱海のような災害を引き起こしたり。
私は、高圧で受電しているビルや工場などの受変電設備の管理が生業のため、太陽光や風力等、自然任せの電源が多数接続されることによる問題に日々接していることから、なおさらです。
環境省が毎年公表している温室効果ガス排出量(2020年度 確報値)によると、2020年は水力を含めた発電量は、1,983億kWh、再エネ比率は19.8%だったようです。
ただ、水力を除くと1,199億kWh、12%。多いとみるか少ないとみるか。
ということで、世界のデータをみてみましょう。
このサイトは、以前ご紹介しました。
果たして、約13%。水力を除いた日本は、ほぼ平均の値なんですね。
(出典が異なるので、こちらのデータでは約10.6%になっていますが)
環境問題に関してはリーダーシップを発揮しようと躍起になっているEUが約18%。水力を含めた日本は約20%ですから、実は、胸を張っていいのかもしれません。
折角なので、ベスト10、ワースト10も見てみましょう。
地熱大国アイスランドがダントツ。
その他は、主に水力ですね。
こちらは、宜なるかな。石油大国が並びました。
しかし、アラブ諸国は、石油は外貨獲得の商材という位置づけで、再エネ導入に面舵一杯。UAEが名を連ねていないのは、予想通りでした。
再エネ比率及び化石燃料消費量についてマッピングしてみるとこんな感じ。
中国は、再エネの導入も進んでいる一方、化石燃料の消費も多いんですね。
ただ、人口1人当たりにしてみると、皆さんのご想像通り、USと石炭大国オーストラリアがツートップ。
しかしながら、圧倒的に引き離されてはいるものの、日本が3位に付けていることは「予想外」なのでは?
つまり、再エネの導入は進んでいるものの、世界的に見て、化石燃料に頼っているといえますが、経産省が毎年公表しているエネルギー需給実績を見ると、「頼っている」というよりも「べったり」というのが明確です。
自給率の低さと化石エネルギー依存度高さを鑑みると、再エネの更なる導入は既定路線とはいえ、まだまだ主役を張るには役不足。環境コンサルとしては「論外」と後ろ指を指されそうですが、電気事業にも半分身を置く自分としては、今現在で将来の電源構成を決めてしまわず、幅広い選択肢を残して議論を進めるべきと考えます。
SDGsの基本理念「ダイバーシティーとインクルーシブ」をエネルギーセキュリティでも貫いてもらいたいです。