クレジットのおさらいをしておこう(3)
政府が、22年6月にリリースした「カーボン・クレジット・レポート」を利用して、クレジットのおさらいをしています。
サステナ関係は目まぐるしいスピードで変化するため、参照する情報には気を遣いますが、クレジットに関しては国内では右に出る者はいないという方々を委員に迎えた検討会を実施、その成果物として大本営がまとめたものですので、このレポートに基づいて理解しておけば間違い無いでしょう
1回目は、コンプライアンス・クレジットとボランタリー・クレジットの区別、及びボラクレのプログラム(スキーム)を説明しました。
2回目は、プロジェクト(方法論)の種類についてご案内したところ。
最終回は、クレジットがどうあるべきかについて考えたいと思います。
何をさておいても、ウォッシュの誹りを受けない「高品質なクレジット(High Integrity Credit)」であるべき、ということについては、異論は無いと思います。
ウォッシュについては、noteでも繰り返しご案内してきましたので、よろしければ参照下さい。
さて、「高品質なクレジット」とは、どのような要件を満たしているべきでしょうか。
VCSやGSなどのスキーム毎に設定されてはいますが(かつ現在進行中ですが)、代表的なものとして、ICROA(International Carbon Reduction & Offset Alliance)が策定した基準があります。
ICVCMの「CCPs:Core Carbon Principles」も同様の目的で策定されており、プログラムレベルの「CCP-Eligible」とカテゴリー(方法論・プロジェクト)レベルの「CCP-Approved」の2種類の認証が行われていることを、以前のnoteでご案内しています。
とはいえ、このような要件を満たしているか否かは、いくらルールが厳しくなっても抜け道は存在します。であれば、常時モニタリングすればよいのでは?と考えますよね。
ということで、「見える化」技術がこの分野にも進出。GPSなどを使用したサービスが雨後のタケノコのように現れ、活況を呈しています。
他方、クレジットが「商品」として普及するためには、欠かせないサービスがあるはずです。それについて、個人的な提案をしたこともあります。開発中、あるいは既にサービスインしているものを紹介しています。
ですが、恐れすぎるのも考えものです。
こちらについても、以前問題提起をしております。
私は、コンサルタントのように「べき論」を宣っているだけで無く、実は、「高品質なクレジット」を生み出す可能性を秘めた技術の市場実装を図っているスタートアップ「Carbontribe」にジョインしました。
コンピュータービジョンを用いた、リアルタイムモニタリングする技術を活用するのですが、その対象となるプロジェクトやプログラムの設計、活用の手法、市場の動向等に関するアドバイザーとして協力しています。
さらに今年11月、アゼルバイジャンのバクーで開催されるCOP29において設置されるジャパン・パビリオンに、Carbontribeが登壇することになったため、私も出席できることになりました。
加えて、入域許可証(Accreditation アクレディ)もゲットできそうなので、誰もが入ることのできるGreen Zoneに加え、パスが必要なBlue Zoneにも入域できるため、こちらで開催されるイベント等の情報もご案内していこうと思っています。
なお、滞在中は取材等で多忙を極めることに加え、ネット環境もよくないことから、noteのアップはお休みするつもりです。Xにはポストしますので、よろしければフォローしてもらえると、嬉しいです。(@TS_EnergyDesign)
3回に亘ってお届けした「カーボン・クレジット・レポートを読もう」シリーズ、いかがだったでしょうか。
なお、レポートは、今後の動向なども説明しているのですが、この分野は朝令暮改、刻々と変化していきます。既に過去のものとなった内容も含まれています。ですので、新しい情報については、改めて別の機会にご案内していこうと思います。
お付き合い下さり、有り難うございました。