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SBTi Scope3 discussion paper の衝撃?!(3)

SBTiが7月30日に公開した4文書のうちの「Scope 3 discussion paper」について、2回に亘ってご紹介してきました。

このディスカッションペーパーのポイントは次の2つであると思っていて、1回目で、「オフセット」についての考え方をご案内。2回目からは、「アウトカムベース指標」について考えています。

1.クレジット購入によるオフセット
2.アウトカムベース指標

ディスカッションペーパーは、ネット・ゼロ達成へ向けて、次の5ステップでのフレームワークを提案しているのですが、「アウトカムベース指標」は、主に、ステップ2とステップ3に関わってきます。

前回は、ステップ2「優先順位付け」における考慮の仕方について説明しましたので、今回はステップ3について、考えていきたいと思います。

ステップ3「目標設定」でも、同様に、「アウトカムベース」アプローチを「インパクトベース」アプローチと併用します。KPIとして、「アウトカムベース指標」と「インパクトベース指標」を設定することになります。

先に説明したように、「インパクト」は「アウトカム」の積み重ねなので、「アウトカムベース指標」は短期、「インパクトベース指標」は長期の目標と言い換えてもよいかと思います。

ですので、「2050年ネット・ゼロ」へのアプローチは、マイルストーンとしての「インパクトベース指標」及び「アウトカムベース指標」、それを達成するための施策「インターベンション」という構造となります。

分かりにくいので、ディスカッションペーパーでは、「インパクトベース指標」及び「アウトカムベース指標」の具体的な例を挙げてくれています。

「インパクトベース指標」を達成するための施策をブレイクダウンしたのが「アウトカムベース指標」と言えそうですね。

ステップ4とステップ5でも、「アウトカムベース指標」は関わってきますが、他の要素も入ってきて分かりにくくなりそうなので、別の機会に説明したいと思います。

以上、「Scope 3 discussion paper」を見てきましたが、紹介した2つのポイントは、一面矛盾しているようにも思えます。

というのも、「クレジット購入によるオフセット」は、組織が削減できない排出量に対する緩和措置であり、現実路線。言い換えると「短期的施策」。

「アウトカムベース指標」は、すぐには「インパクト」に結びつかない目標設定を促すもの。言い換えると「長期的施策」。

しかしながら、「2050年ネット・ゼロ」は近づいてきたとは言え、ロングジャーニー。その時に花開くように、種まきが必要です。

「クレジット購入」を通じてバリューチェーン外の排出削減に貢献する「BVCM」は、世界全体の排出量削減をもたらしますし、「アウトカムベース指標」を達成するために実施する「インターベンション」も、バリューチェーン外に影響をもたらします。

いずれも、「1.5℃経路」「2050年ネット・ゼロ」へ向けて、組織が何をすべきか、と言う問いに対する、SBTiの明確なメッセージと言えるのではないでしょうか。

However, corporates and corporate decarbonization programs might incentivize and contribute to mitigation finance to support beyond value chain mitigation through carbon markets.

SBTi Aligning Corporate Value Chains Scope 3 Discussion Paper(40ページ)

世界で見れば、バリューチェーンの内と外という概念はありません。
一丸となって、サスティナブルな社会の実現を目指していきましょう。

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園田隆克@GHG削減サポーター
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