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GX-ETS制度設計始動(8)
政府は、GXの実現に向け、成功志向型カーボンプライシング構想の具体化を進めていますが、2026年本格稼働を前に、GX-ETSの具体案に関して、有識者や産業界の意見を踏まえた検討を行うWGを設置しました。
委員の顔ぶれはこちら。
排出量取引やクレジットについて、黎明期から携わってこられた錚々たる方々で、私にとっても「懐かしい」面々という印象。
GX実現に向けたカーボンプライシング専門ワーキンググループ
構成員・オブザーバー名簿 (敬称略・五十音順)
構成員
有村 俊秀 早稲田大学政治経済学術院 教授・環境経済経営研究所 所長
伊藤 さゆり 株式会社ニッセイ基礎研究所 経済研究部 常務理事
上野 貴弘 (一財)電力中央研究所 社会経済研究所 研究推進マネージャー(サステナビリティ) 上席研究員員
大橋 弘 東京大学 副学長・大学院経済学研究科 教授
工藤 拓毅 (一財)日本エネルギー経済研究所 理事
高村 ゆかり 東京大学未来ビジョン研究センター 教授
望月 愛子 株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者 取締役CFO
諸富 徹 京都大学大学院経済学研究科 教授
吉高 まり 三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社 フェロー(サステナビリティ)
オブザーバー
(一社)日本経済団体連合会
日本商工会議所
日本労働組合総連合会
当時から携わってきた関係者からしてみれば「いつか来た道」「議論は尽くした」という感覚もあるところですが、だからこそ、同じ議論を繰り返さず、グローバルに通用する「GX-ETS」の制度設計を行っているくれるものと期待しています。
その第1回会合は、9月3日に開催されています。
この際は、事務局の国内外のETSのレビュー、業界団体の取組状況の説明、委員からのコメント及び質問、そして、質問に対する業界団体の回答を、7回シリーズでお届けしました。
ヒアリングを受けた業界団体は、次の5団体でした。
・鉄鋼連盟
・石油連盟
・日本化学工業協会(日化協)
・電気事業連合会(電事連)
・WWFジャパン(WWFJ)
遅くなりましたが、第2回会合が9月20日に行われましたので、引き続き概要を簡単にご案内したいと思います。
事務局の説明はありませんでしたので、業界団体の取組説明、委員のコメント及び両者の質疑応答でした。ヒアリング対象は、次の5団体。いずれも、hard to abateセクター及びイニシアチブです。
・セメント協会(セメント協)
・日本製紙連合会(日製連)
・日本自動車工業会(自工会)
・定期航空協会(定航協)
・日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)
事務局説明が無かったとは言え、やはり2時間超(20分ほど短くなりました)なので、ご視聴の際は、お時間のあるときにラジオ感覚でどうぞ。
前回のように、委員と業界団体との間で険悪なムードになることも無く、終始穏やかに進んだなという印象でした。
さて、1回目における業界団体の主張は、主に次の5点でした。
1.タイムフレーム
2.リーケージ
3.予見可能性
4.GXコスト負担
5.セクター毎の事情に配慮した設計
「1.タイムフレーム」については、4団体全てが言及しており、これは、取りも直さず、日本の産業界全体の論点でもあると感じたところです。その他については温度差があり、業界の特徴を表していると思いました。
2回目における指摘ポイントは、こんな感じ。
1.予見可能性
2.国内外各制度との整合性
3.過去の取組の評価
4.GXコスト負担
5.段階的導入
同じ内容で異なった表現となっているものもありますが、1回目では、「タイムスケールを考慮し、GXに資する商品開発のスピードを阻害するような拙速な規制を行わないで欲しい」という主張が強かった一方、2回目では、「予見可能性」に配慮して欲しい旨のコメント多かったように感じました。
もちろん、1回目でも同様の主張はなされていましたが、その際は、制度設計に基づく「予見可能性」でした。他方今回は、「カーボンプライシング」に基づく「予見可能性」だったことが特徴的。加えて、「インターナル・カーボンプライシング」への言及もありました。
ワーキンググループの名称に「カーボンプライシング」が入っていますので、ドンズバの議論ではありますが、ヒアリングを行う業界団体が異なるだけで、このように、論点が変わってくるのも面白いですね。
1回目は、まさしく「重厚長大」セクターだったところ、2回目は、自工会や定航協のような、グローバルマーケットを対象としているセクターが入っていたのが大きいかなと。(もちろん、1回目のセクターが世界を相手にしていないとはもうしません)
次回は、こちらの説明から行って行きたいと思います。
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