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ウォッシュを許さない文化を創ろう

今年2月6日、VerraがCDMの方法論「AMS-III.AU(稲作における水管理方法の調整によるメタンガス排出量の削減)」に基づくVCSを停止していると、CARBONCREDIT.COMが報道しており、どうなるだろうと思っていました。

この方法論は、稲作における有機物の嫌気性分解を低減することによる、GHG排出回避です。

これには、以下のようなプロジェクトや活動が含まれます。

・中干しの実施もしくは中干し期間の延長
・間断灌水もしくは好気性稲作
・移植栽培から直播栽培への変更

なお、プロジェクト地域の稲作が、成長期の長期間、灌漑、湛水された水田であることを要件としています。

ベースラインとプロジェクトのシナリオはこのようなイメージです。

CARBONCREDIT.COM記事より

で、注目の結果は ?

レビューの結果、「恒久的に停止」することになったようです。
3月20日に公式なリリースがされました。

Verra has permanently inactivated the use of UNFCCC Clean Development Mechanism (CDM) methodology AMS-III.AU.: Methane emission reduction by adjusted water management practice in rice cultivation in the Verified Carbon Standard (VCS) Program.

Verra ウェブサイトより

本手法の恒久的な停止の理由は以下の3つ。

1.フィールドの層別化に関するガイダンスが不十分
2.NO排出量と土壌有機炭素の蓄積量の変化に対する考察、会計処理、モニタリングの欠如
3.メタン測定実施のための標準化されたガイダンスの不在

Verra ウェブサイトより

レビューにおいて、品質に問題のある検証を実施したと認められた検証機関もオープンにされています。以下の4つの検証機関のうち、3つは中国の機関です。まぁ、中国南部での広大な稲作地帯で、過剰なクレジットが創生されていたということでしょう。

・中国船級協会認証会社
・中国品質認証センター
・深圳CTI国際認証有限公司
・Tuev Nord Cert GmbH

Verra ウェブサイトより

ちなみに、停止は2023年2月3日からですので、それ以前にAMS-III.AUに基づいた申請がなされている場合、登録は進めることができるものの、以下のことを行う必要があるそうです。

・2023年9月20日までにバリデーションを完了すること。
・登録依頼に対するVerraの全面的な審査で出された所見に対処すること。

Verra ウェブサイトより

Verraは、代替となる規格として「VM0042 Methodology for Improved Land Management」に基づく規格を策定することも発表していますので、新たに申請しようとする場合は、こちらを待ってからが良いでしょうね。


さて、私がこのニュースを気にしていたのも、ボランタリークレジットの活用が進む中、実際の排出量削減につながっていない、ウォッシュではないか、という懸念が問題視されるようになってきているからです。

例えば、23年1月18日のガーディアンの記事に対して、Verraが反論するという一幕もありました。

まぁ、出る杭は打たれる、ではありませんが、認知が進むに当たって、このような事が起こることは想定内ではあります。だからこそ、「高品質なクレジット」要請が高まり、だからこそ、ISOやICVCMやVCMIなどの国際イニシアチブが、統一ルールを策定するムーブメントが起きている訳です。

個人的には、非常に良い流れだと思い、作る側からしても準拠するルールが明確される訳で、ウェルカムです。

これまで何度となくお伝えしてきたところですが、これからも、「安心して」ボランタリークレジットを活用することで、BVCM(Beyond Value Chain Mitigtion バリュチェーンを超えた排出削減)に貢献してもらえるよう、定期的に発信していきます。

信頼できる情報源として、ご利用頂けるよう頑張ります。
よろしくお願いします。

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園田隆克@GHG削減サポーター
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