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SBTi参加企業数アップデート

毎月定例のSBTi参加企業数、2024年8月度。
毎週木曜日にアップデートされますので、2024年8月29日現在です。
前回はこちら。

SBTiは23年5月から、Beta版のTarget dashboardを運用し始めています。

運用開始から1年以上経ちますが、今でも、Legacy版との並行運用となっており、フィードバックも募集していることから、Legacy版に対して根強い需要があるのでしょうね。

かくいうこのnoteでも、Beta版ではデータのフィルタリング方法が変更となり、これまでのグラフ等との継続性が保てなくなることから、当面Legacyを使用していましたので、システムを構築している場合は、そう簡単に乗り換えられないのかもしれません。

とは言え、以前はアクセスした際にポップアップしていたアラートが無くなっていますので、「Beta版」からの卒業は少しずつ近づいているのかもです。

まぁ、今からアクセスするのであれば、Beta版一択です。

認定済み組織(Target set)及びコミットメントレター提出組織(Committed)だけでなく、SBTiの方針に基づき「Commitment removed」された組織も検索表示されるようになりましたし、データが、エクセルファイルでダウンロードできるようになっています。

履歴は残らないため、推移を見るためには、自分で保存しておく必要がありますが、ダッシュボードで参照するよりも、遙かに効率的に検索できます。

前置きはこれくらいにして、データのご案内に移りましょう。

Near-termとNet-Zero、Target毎に「Commitment removed」「Committed」「Target set」の企業数、及び、SBTiに参加している企業総数を月毎にレポートしています。

noteでは、企業数しかご案内しませんが、詳細フィルターを使用することにより、ステータス毎の企業の一覧が表示され、次の項目を参照することができます。ご参考まで。

Beta版に切り替えてからまだ4ヶ月ですので表形式にしていますが、期間がなくなればグラフ化していこうと思っています。

続いて、前月比の増減をみてみましょう。

全体:世界 +368社 日本 +67社

○Near-term
Commitment removed:世界 +247社 日本 +64社
Committed:世界 +178社 日本 +7社
Tareget set:世界 +247社 日本 +64社

○Net-Zero
Commitment removed:世界 +32社 日本 0社
Committed:世界 +57社 日本 +1社
Tareget set:世界 +84社 日本 +5社

何と言っても、全体とNear-termの増加ぶりが著しいです。
ちなみに、前月(つまり6月から7月の増減)はこちらです。

全体:世界 +144社 日本 +17社

○Near-term
Commitment removed:世界 +163社 日本 +18社
Committed:世界 +25社 日本 +4社
Tareget set:世界 +163社 日本 +18社

○Net-Zero
Commitment removed:世界 +52社 日本 0社
Committed:世界 -11社 日本 +1社
Tareget set:世界 +63社 日本 +5社

全体(世界)は倍以上、日本に至っては約4倍となっています。
Near-termの「Target set」も日本の増加が目覚ましい。

ただ「Commitment removed」も同様なところ、「Committed」は世界の増加と比較して慎ましく感じられるなど、理解に苦しみますが、SBTi認定が普及するに当たって、申請する企業側の意識が変化しているのかもしれません。

Net-zeroについては、景色が違っていて、ほぼ巡航速度のようです。
そもそも、ハードルが高く、CDPのAリストに名を連ねるような企業で無ければチャレンジできないと思いますので、当然ではありますね。

個人的には、昨年のISO14068-1 2023(カーボンニュートラリティ)のリリースに引き続き、ISO14060(ネットゼロを目指す企業)の策定が続いており、ネット・ゼロ界隈の動きが気になっています。

具体的に決まったことはあまり無いとのことですが、両者をどのように整合させていくのでしょうか。

また、ISO32212(金融セクターのネットゼロへの計画)という規格作りも進んでいるとか。「Financed Emissions」は金融庁も、金融に課せられた使命として繰り返し言及していますので、注目せざるを得ません。

ただ、このISO化については、稲葉先生が次のように懸念を示されています。

金融セクターの気候変動対応は、既に「ISO14097:2021気候変動ファイナンス」、「ISO14030シリーズ:2021〜2022 グリーンボンド」、「ISO14100:2022グリーンファイナンス」があるので、屋上に屋を重ねることにならないか心配です。

屋上屋といえば、Verraが推進している「Scope 3 Standard Program」が、GHGプロトコルの「Corporate Value Chain(Scope3) Accounting and Reporting Standard」とのダブルスタンダードにならないかと、懸念しています。

こちらについては、改めてご案内していきたいと思っています。
お楽しみに。

以上、SBTi参加企業数アップデート、8月版をお届けしました。

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園田隆克@GHG削減サポーター
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