CCPがリリースされました(2)
待ちに待っていた、「高品質なクレジット」の統一ルール。
前回は、ドラフトとの相違などについてご案内しました。
今回は、政策決定者向けの内容について。
踏み込んでの説明はとてもできませんので、章立てを著者なりに整理して、概略をご案内していこうと思います。
CCPは、1回目でもご案内したように、10の原理からなります。
政策決定者向けの章では、もちろん、それぞれについて簡単に説明されていますが、「CCP Attributes」とCCPs及びフレームワークの継続的な改訂についても述べられています。
「CCP Attributes」とは、それぞれが有している属性を認証した上で、ラベルを付すものです。下記の3種類が規定されています。
政策決定者としては、クレジットを購入するにあっては明確な目標あると思います。国レベルであれば、NDCとして利用できるか否かを表す「1」が重要でしょうし、地方自治体等のコミュニティレベルでは「2」のように、資金の提供があるか否かが重要でしょう。
もちろん、気候変動以外の問題もそれぞれ抱えているでしょうから、「3」において、どのような「貢献」をプロジェクト実施者が行ってくれるかも、関心が高いでしょうね。
ICVCMのフレームワークは、下記の2種類があることをご案内しました。
CCP-Approvedとされたクレジットは、それだけで「高品質なクレジット」といえますが、CCP Attributesラベルがあれば、さらに「高品質」であることを担保してくれるという意味において、事業者にとっても望ましいでしょう。ウォッシュの誹りを回避することができます。
さて、「E:COUNTINUOUS IMPROVEMENT OF THE ASSESSMENT FRAMEWORK」というセクションを設けているのは、「ダブルカウント」の課題があるからのようです。
というのも、プロジェクトが実施されたホスト国からクレジットがプロジェクト主体へ移行する場合、「相当調整」を実施することが、「CCP Attributes 1」という属性ですが、その場合、ホスト国はパリ協定6条ルールに従って、一定の「オンセット」をしなければなりません。
ホスト国は、プロジェクトによって創生したクレジットを丸々NDC達成に使えなくなってしまいます。まぁ、その代わりに、プロジェクト実施者に資金提供を受けて、削減事業を行ったのですから、当たり前ではありますが。
これにより、クレジットの品質、信頼性は向上すると思われるところ、売る側は削減効果を享受できず、他方、クレジット購入側は、価格が高くなってしまいます。これが、クレジットの創生にどのようなインパクトがあるか、不明な点が多いのです。
本当に「相当調整」の需要が高いのか、クレジット価格によって需要がどの程度変動するのか。クレジット実施者にとってハードルが高ければ、そもそも、創生されないかもしれません。モノが無ければ売れません。
なので、継続的に様々なステークホルダーからフィードバックを受けながら開発を続けるとしており、初回の改訂版は、2025年に公開、2026年からの導入を目指すとしています。
加えて、高品質なクレジットを作る側のルールである「ICVCM」と、使う側のルール「VCMI」が、この課題を議論する共同作業プログラムを設立するとしているのも、これから、クレジットを活用していきたい国・地域及び事業者としては安心材料ですね。
この点を政策決定者向けの章で明らかにしていることは、納得がいきます。
次回は、フレームワークを見ていきましょう。