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Energy Transition Accelerator (ETA)

ケリー米国気候問題担当大統領特使、ロックフェラー財団及びベゾス・アース・ファンドが11/9、Energy Transition Accelerator (ETA)という仕組みを発表しました。話題になっているようで、プレスリリースを確認してみました。

1.5℃目標を達成し、世界中で発生している気候変動による極端現象を回避するためには、再生可能エネルギーに対する前例の無い規模の投資が必要であるとの認識の下、特に途上国におけるエネルギー転換を加速させるための民間投資を促進させることを目的としている、とあります。

ETAは、途上国が、より深く、より早い排出削減を実現するとともに、再生可能エネルギーへのアクセスを拡大させ、より広範な持続可能な開発目標の推進を支援すると期待されているとか。 脆弱な国々における適応の取り組みを強化するための新たな資金も生み出されるとのこと。

では、どうやって?

読み進めてみると、このような説明がありました。

Operating at the scale of national or subnational jurisdictions, the ETA will produce verified greenhouse gas emission reductions, which participating jurisdictions will have the option of issuing as marketable carbon credits.

なるほど、市場で取り引きができる「削減クレジット」のようです。
では、現在流通している「削減クレジット」と何が違うのでしょう。

The jurisdictional approach, similar to approaches currently employed in the forestry sector, will help avoid emissions leakage, ensure that emissions reductions are real and additional, and align a jurisdiction’s power sector policies, investment priorities, and just transition strategies.

「森林セクターで用いられているアプローチと同様に」といっても、「emission reductions」なので、あくまでも「削減」であり「吸収」ではありません。思うに、「再エネ導入」に関連するセクター向けの「カーボン・クレジット」のスキームということなのでしょう。

特徴的なのは、固定価格で予め買い手が決まっていることかと。

By providing jurisdictions with fixed-price advance purchase commitments for verified emission reductions, the ETA will create a predictable finance stream that can unlock upfront private finance at more favorable rates.

これは、CDMや開始当初の国内クレジットのように、バイラテラル、つまり、売り手と買い手、ホスト国とゲスト国が、揃ってプロジェクトを申請するものだと考えます。売れることが決まっているので「predictable」安心して事業ができる訳です。

特に着目したのが、この記述。自身の排出量の削減や、BVCM(自社のバリューチェーンを超えた削減)、さらに、短期SBTの目標達成にも活用できるように理解できます。

companies could use credits to support mitigation above and beyond their interim targets, to contribute to climate finance or other voluntary goals, or to contribute to a host country’s NDC achievement. Another approach to be explored is the use of some credits to address a limited portion of Scope 3 emissions within a company’s near-term target

SBTiやCDP、GHGプロトコルは、BVCM以外の「削減クレジット」の活用は認めないところ、企業側としては、できれば使用させて欲しいのが本音。

これらイニシアチブと反目するのかと思いきや、さにあらず。

A range of stakeholders will be consulted on the ETA’s technical aspects as well as environmental, social, and just transition safeguards. Organizations to be consulted include the Science Based Targets Initiative (SBTi), the Voluntary Carbon Markets Initiative (VCMI), the Integrity Council for the Voluntary Carbon Market (ICVCM), and the World Resources Institute (WRI) for GHG Protocol.

SBTi、VCMI、ICVCM、WRI及びGHGプロトコルという、名だたるプレーヤーとも協調してETAを進めていくとのこと。

To promote environmental integrity in the use of carbon credits, one idea for the ETA will be to open it only to companies committed to achieving net zero no later than 2050 and science-based interim targets. Other provisions will establish strong transparency requirements and address how companies’ investments in verified emissions reductions through the ETA could be recognized.

活用できる条件や透明性の確保において、妥協点を探るのでしょうか。

とはいえ、まだまだ構想段階のようで、詳細はこれから。
継続的にウォッチしていきたいと思います。

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園田隆克@GHG削減サポーター
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