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カーボン・クレジットの業界地図

先日、海外のプロバイダーから「このところVerraの動きが遅い」という話を聞きました。自身は国内のクレジットしか扱っていないので感覚は無かったのですが、改めて考えると宜なるかなと思いました。

以降は、完全に個人的な見解、というか、妄想かもしれませんが、お付き合い頂ければと思います。


JPXがカーボン・クレジット市場を開設し取引が開始されたことで、これまでは「知る人ぞ知る」状態だったクレジットも、市井の方々にも知られるところとなったかとは思います。

世界的には日本とは比較にならないほど周知されているものですが、だからこそ、「ウォッシュ批判キャンペーン」を繰り広げるメディアもあったりします。

その中でも、ガーディアン紙とVerraのファイトは、業界の間ではそこそこ話題に上がりました。

このような背景の元、noteでも、関連するVerraの動きを紹介しつつ、問題提起をしたところです。

反論しているだけではなく、定期的なレビューはしっかりと実施し、問題が発生する前にしかるべき対処は行っていると主張しています。

延焼を防止すべく、火消しに躍起となっている様子が窺えます。

また、ISCCは、2023年4月、中国から輸入され、一部はインドネシアとマレーシアから供給される廃棄物や残渣を原料として製造される高度バイオディーゼルの急増について懸念を表明する連絡を受けたことを公表しました。

これを受けて、調査に着手したとし、下記対応策を発表しました。

・抜き打ち監査
・利害関係者とのフォローアップ
・検証機関および税関当局との協議
・公平な競争条件を確保するための他のボランタリースキームとの連携
・厳格化されたシステム要件の実施
・廃棄物/残留物の原産地に関する収量ガイドラインの策定

ISCC NEWS より

並行して、廃棄物および残渣のサプライチェーンに対する要求事項の強化を決定、2023年8月1 日以降に実施される初回審査および再認証審査から適用することを発表しました。

また、対策の進行状況について、5月にアップデートを行うなど、課題に真摯に取り組んでいる旨、ステークホルダーに対してPRに余念がありません。


ここまで説明してきて「ハハ〜ン」と思われませんでしたか?

古参のカーボン・クレジットのスキームオーナーは、登録済みのクレジット、いわば市中在庫が積み上がっているため、それに対する昨今の「ウォッシュ批判対策」で手一杯なのではないか?という推論です。

ここで、にわかに存在感を示しつつあるのが、「Ox Carbon」です。

2021年に設立され、オックスフォード大学イノベーションがスピンアウトした保証有限責任非営利企業です。オックスフォード・オフセット原則に沿った気候影響プロジェクトのイノベーションを促進することを目的としています。

こちらの方が動きが早いとして、クレジットの創生に当たって、Verraではなく、Ox carbonを選択する事業者が出始めているというもの。

アフリカでは、固定の通信インフラが存在しなかったが故に、一足飛びに携帯通信網が発達した「リープフロッグ」現象が、クレジットでも起きつつあるのではないでしょうか。日本でも、NTTがレガシーに悩まされましたし。

もちろん、過去の知見の蓄積も重要なので軽んじるわけにはいきませんが、クレジットは創るのが目的ではなく、活用してナンボ。創出する側としては、全体を俯瞰しながら、クレジットのコベネフィットを追求していきたいですね。

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園田隆克@GHG削減サポーター
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