世界銀行のCPレポート 斜め読み(1)
世界銀行(世銀)は、こちらのダッシュボードを通じて、世界のカーボン・プライシング(CP)の情報を発信しています。
説明をしておくと、CPには次の3つの種類に区分されます。
排出量取引(Emisssion Trading Scheme:ETS)のみであれば、ICAP(International Carbon Action Partnership)も重要な情報源です。
導入されている国・地域がマップやリストで示されますし、排出権価格(Allowance Price)のチャートも参照できて、貴重です。
特に、毎年リリースされるETSに関するレポート「Emissions Trading Worldwide」は、トレード参加者のみならず、クレジットに関わる方や算定担当者にとっても、非常に参考になる資料です。
クレジット取引については、シンガポール拠点のACXが頼りになります。
コンクレ・ボラクレ、多数のマーケットが存在しますが、ACXは、完全にウェブベースの取引市場で、ドバイのマーケットとも連携しており、今後ブラジルやベトナムとの連携も予定しています。
ですので、世界のマーケット動向をチェックするには最適のサイトです。
さらに、毎週、メルマガでこのようなマーケット情報を届けてくれます。
始めて海外ボラクレの価格を知ったときには、目を疑いました。
J-クレジットが「安い」と言っていたのが何だったのかと。
ちなみに、先週はこんな感じ。
先週は、ICVCMのCCP(Core Carbon Principles)ラベルを取得したクレジットが初めて取引されたので注目していましたが、殆ど影響は無かった模様。全体の取引量に対する割合が1.5%程だったということなので、数が増えてくれば変わってくるかもしれません。
ACXはweeklyな情報ですが、株式市場と同じようにリアルタイムで価格変動をチェックしたい方には、「Carbon Credits」が提供しているチャートがお奨めです。
こちらは、まさしく株式市場。
中国や韓国などは、政府による介入などの影響が見られますが、欧州(EUA)やアビエーション(CORSIA)などは、自由競争と言って良いかと。
なお、CCP及び認証制度については、noteでご案内しておりますので、詳細をお知りになりたい方は、こちらを参照下さい。
ボラクレと言えば、VerraのVCSがガリバー的存在ですが、5月に「CCP-eligible」、6月に「CCP-approved」の認証を受けています。
その他の代表的なボラクレと同時に申請していましたが、何分、規模が大きすぎるので、審査に時間がかかった模様。
とはいえ、CCP-approvedのクレジットは、AMS-Ⅲ.G.(埋立地からのメタン回収)とACM0001(埋立ガスのフレアリングと使用)の2つの方法論だけという点に留意下さい。
他方、世銀は、「カーボン・プライシング」なので、炭素税(賦課金)やクレジット(ボランタリー・コンプライアンス)及び排出権取引(ET)も含んだ情報となっています。
その世銀が、毎年発行している「カーボン・プライシング・レポート」
先日、2024年版がリリースされましたので、紹介しようと思っていたところ、導入だけで長くなってしまいました(笑)ので、内容は次回に回したいと思います。
引き続き、ご覧頂けますと幸いです。