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販売した製品の使用による排出量(解説編)

前回、カテゴリー11についての、お題を出しておりました。

次の二つのメーカーになったとして想像してみて下さい。
販売した製品の使用に際し、どのような行為に対して、どのようなエネルギーを必要とするでしょうか。

  1. 自家用車

  2. 食パン

どのような場面を、想像されたでしょうか。
まぁ、そんなに難しく考えることではないのであっさりと。

A.自動車であれば、例えば、

1.移動するときに、ガソリン(軽油、電気)を使う
2.洗車するときに、水道水を使う

B.食パンだと

1.焼くときに、トースターを使う
2.フレンチトーストを作るときに、ガスコンロを使う

まだまだ沢山あるでしょうが、分かりやすくするためにこれくらいで。

このうち、仲間はずれが一つだけあります。
それは、A-1です。

自動車は移動の手段ですよね。
そのためには、必ず何らかのエネルギーが必要であり、使用に当たって燃料又は電力を直接消費します。
これを「直接使用段階での排出量」と呼んでいます。

他方、B-1はどうでしょう。

もちろん、そのまま食べれば、エネルギーは何も使用しません。
ですが、トーストして、ジャムなどを塗って食される方が多いでしょう。
しかし、それは「使用」に当たっては「オプション」と捉えます。

これは、食料品全般にわたって言えることです。
保存に際し冷蔵、冷凍が必要であれば電力を使用しますし、調理するときには熱を使うでしょう。生野菜は、流水で洗うのは普通ですよね。

このような排出は「間接使用段階での排出量」と呼んでいます。
スコープ3基準では、このようなルールとなっています

直接使用段階の排出量 必須
間接使用段階の排出量 任意(多いと予想される場合には望ましい)

スコープ3排出量の算定技術ガイダンス
販売した製品の使用からの排出量

カテゴリー11の難しさの根源は、このような直接・間接の排出量を算定するためのストーリー作成にあります。妥当性のあるものにするため、さまざまな仮定を立て、必要なデータを収集するのですが、相当の労力。

ただ、妥当か否かを判断するためのエビデンスをしっかりと提供することが重要です。恣意的でなければ、非難されることはありません。そもそも、スコープ3は他社比較ができないことが前提ですから。

スコープ3で定められていることに、愚直に応えていけばOK。
毎年の報告で、レベルアップを図っていきましょう。

報告の手引

さて、使用段階の排出量で避けて通れない、というか、メーカーとしては一番に訴求したいところが、自社製品を使用することによって、他社品、従来品と比較して、「これだけ減らすことができますよ」という優位性。

削減貢献量(avoided emissions)と呼びますが、これについては、いかなるもについても、別個に報告しなければなりません。

個人的には、「貢献量」というように、「お客様の排出量の削減に貢献しますよ」と訴求するのもよいですが、自社のスコープ3排出量を削減するための施策として捉える方がベターではないかと考えます。

スコープ3は自社が関与できない排出量ばかりであるところ、カテゴリー11は自社努力で減らすことができるカテゴリー。基準年が多くてもいいじゃないですか。最初は正直に算定しておき、製品の効率化によって達成できる削減量は「自社の貢献量」として享受していきましょう。

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園田隆克@GHG削減サポーター
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