Verraの「Scope3 Standard Program」に期待(2)
前回から、6月25日にCDPとBCGが合同で発表した、23年のCDP質問書回答を分析した新しいレポート「Scope3 Upstream: Big Challenges, Simple Remedies」で明らかになった、スコープ3排出量算定の重要性について、思うところをお話ししています。
その課題に対し、Verraが推進しているプロジェクト「Scope 3 Standard Program」が、果たしてソリューションになるのか? という視点で考えてみたいと思います。
まず最初に、このプロジェクトについて紹介しておきますね。
「Scope 3 Standard Program」は、「Scope 3 Initiative」から発展したもので、企業がScope 3排出量削減のための介入活動を信頼性の高い形で認証し、報告できるようにするための標準化されたプログラムです。
このプログラムは、企業のバリューチェーン全体における大規模な気候行動を促進することを目的としています。
前身となった「Scope 3 Initiativeは」、2022年5月に開始された取り組みで、企業のバリューチェーン全体における気候行動を支援するために設立されたもの。
このイニシアチブは、Scope 3排出量削減における課題とギャップを特定し、企業がScope 3排出量を効果的に計算し報告するためのプログラムを設計することが目的でした。
Scope 3排出量削減のための信頼性の高い報告と監査の仕組みが提供されるので、企業によるバリューチェーン排出量削減活動が「Feasible」になるんですね。また、Scope 3排出量に対する投資を拡大し、企業の持続可能な成長をサポートすることも企図していたそうです。
「Scope 3 Initiative」は、100を超えるステークホルダーを巻き込んでおり、現時点では、Scope 3排出量削減における課題を特定し、それに対する解決策を模索しています。この過程で得られた洞察は、「Scope 3 Standard Program」の開発に生かされているとのこと。
利点については、次のようにPRしています。
今後のスケジュールとしては、2025年の第1四半期にはバージョン1.0の正式なリリースが予定されています。現在は、パイロットプロジェクトを通じて、既存のVCS(Verified Carbon Standard)メソドロジーをScope 3の文脈でどのように適用するかの検討が進められています。
つまり、「Scope 3 Standard Program」により、企業がScope 3排出量削減の活動を効果的に実行し、それを透明性の高い形で報告できるようになるのです。このことは、第三者検証にも耐える報告となる可能性もある訳です。
ですが、あくまでも、これらはVerraがPRしていることであって、詳細は分かりません。また、GHGプロトコルやISOとのダブルスタンダードとなることも危惧されます。
ということで、次回は、この疑問に対して、個人的な見解を踏まえてご案内していきたいと思います。