EUタクソノミーから目を離すな
欧州委員会が「Sustainable finance package」を発表しました。
具体的な内容は、こちらです。
主な内容は、以下の3点。
1が重要です。
タクソノミーとは「分類法」といった意味の言葉で、EUのタクソノミーという文脈では、企業などによる経済活動のうちどのようなものが環境配慮と呼べるかを「分類」したものとなっています。
タクソノミーでは、以下の6つの環境保護目標を掲げています。
ここで、以下の4つの条件を満たした場合、タクソノミーに適合したグリーンな経済活動(Taxonomy-aligned)とみなされます。
タクソノミーが目指す主な目的はこちらです。
とにかくも、「Go Green」を目指す企業に対して、投資家が安心して投資できるような環境を構築することが、第一義なのです。
2020年に採択されたタクソノミー基準は、その具体的な内容については、3つの「委託法」によるとしており、2つは施行済みです。
2.は企業がCSRDで開示すべき内容を規定するもので、今回は触れません
1.は、「ある経済活動が気候変動の軽減と適応に大きく貢献する」と判断するための「技術的スクリーニング基準(Technical Screening Criteria : TSC)」を定めるもので、タクソノミーの根幹とも言うべき催促です。
で、これは、上記「6つの環境保護目標」のうち、(1)と(2)、気候変動の緩和と適応についてのみの基準しか示しておりませんでした。
その他の4つの目標のTSCを定めるのが「環境委託法(Environmental Delegated Act)」なのですが、本来の予定より遅れており、公表が待たれていました。
それが、ようやく、公表されたというものです。
ちなみに、EUタクソノミーは生きた文書「Living document」であり、内容は時間の経過とともに追加されます。また、技術的な審査基準も、最新の科学的証拠、技術の進歩、気候・環境政策の進化に合わせて更新されます。
その証左に、22年7月15日、原子力およびガスエネルギー関連の特定の活動が、厳しい条件の下、経済活動のリストに追加された「補完的気候委託法(Compementary Climate Delegated Act)」が公表されました。
「原子力やLNGがグリーンなのか?」とメディアでも採り上げられましたので、覚えている方もいらっしゃるでしょう。
さらに、今回の環境委託法の公表に併せて、またも改訂がなされています。
タクソノミーからは、目が離せませんね。
とはいえ、ようやく6つの環境保護目標に対するTSCが明らかになりましたので、自社製品がTaxonomy-alignedか否か検討する企業も出てくるでしょう。機関投資家の動きも気になります。
今回ご案内していませんが、開示委託法も、CSRDとのからみで重要ですし、CSRDはIFRS S1及びS2の絡みで、これまた重要。そのS1及びS2は6月末にリリースされ、来年24年1月1日から発効。
非財務情報開示周りは、今までに無くダイナミックに動いています。
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