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サスティナブルな福岡空港であるために
月に3、4回も出張でお世話になっている、ベース空港の福岡空港。
本日は、初めて、本業(電気管理)で訪れました。
行ったのは、6,600Vの高電圧の電力を送電するケーブル工事の竣工検査。
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具体的には、工事が確実に行われたかを確認するために、直流20,700Vを10分間印加して耐えるかどうかの試験、「耐電圧試験」を行いました。
いつもは、待ち時間はラウンジで仕事をしているので、改めて周囲を見てみると、拡張工事の真っ只中。壁の向こう側では、着々と進行していることを実感しました。微力ながら、協力できることを嬉しく思った次第。
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折角なので、福岡空港の拡張計画について、「気候変動・生物多様性」という視点を盛り込んで考えて見たいと思います。
福岡空港拡張計画と北部九州の空港連携:持続可能な未来への選択
福岡空港は、博多駅から地下鉄でわずか2駅という利便性の高さは、一度でも利用された方であれば、よくご存知でしょう。しかし、近年の航空需要の急増により、空港のキャパシティが限界に達しつつあり、移転や拡張の議論が行われてきました。
最終的に現在の場所での拡張が選択されましたが、この決定は、単なる利便性の維持にとどまらず、GHG削減や生物多様性の保全、資源の循環利用という持続可能性の観点からも極めて重要な意味を持つと思っています。
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福岡空港の現状と課題
福岡空港は国内外の多くの都市と結ばれ、その便数と就航地の多さが利用者数の増加を支えてきたといえます。加えて、九州全域に広がる高速バス網との連携により、公共交通機関でのアクセスも良好な点が、大分や熊本など、最寄りの空港でなく、福岡が選択肢の筆頭に上がる理由でもあるでしょう。
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しかし、旅客数の増加に伴い、ターミナルや滑走路の混雑、施設の老朽化などの課題が顕在化し、新たな対策が求められていたのも事実でした。
移転案が抱える持続可能性への懸念
かつては、博多湾への移転が検討されましたが、福岡市中心部からのアクセスが悪化すれば、地元の空港を利用する乗客が増え、想定ほど旅客数の伸びない可能性が十分に考えられます。公共事業、あるあるですよね。
また、生態系への影響も大きな懸念材料だったと思います。沿岸部は多様な生物が生息する貴重な生態系であり、空港建設による埋め立てや環境破壊は、生物多様性の喪失を招きかねませんから。
現在地での拡張と持続可能性への配慮
現在進行中の福岡空港の拡張計画は、間もなく(2025年3月)供用開始予定の第2滑走路の増設や国際線旅客ターミナルビルの増改築を含んでいます。
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この選択は、既存インフラを最大限に活用し、追加の資源投入を最小限に抑える資源循環型のアプローチとして評価したいです。国交省の報告書によれば、この拡張により年間の離発着回数は約2倍に増加し、輸送効率の向上と共に、燃料消費と排出量の削減が期待されています。(国土交通省、2024)。
北部九州の空港間連携と地域の生態系保護
個人的には、福岡空港のみに頼るのではなく、北九州空港と佐賀空港の連携を強化し、過度な集中を避け、地域全体でバランスの取れた運用をすべきと考えています。
北九州空港は24時間運用が可能で、特に貨物便のハブとして機能し、佐賀空港は深夜貨物便を担う。これにより、必要以上の拡張を避け、生態系への負荷を最小限に抑えることができると思うのです。
また、空港間での資源共有や設備のリサイクル活用といった資源循環型の取り組みを進めれば、持続可能な空港運営への期待が高まります。
公共交通機関利用促進によるGHG削減
福岡空港の拡張は、地下鉄や高速バスとの接続強化にも力を入れているそうです。公共交通機関の利用を促進することで、自家用車利用の削減を図り、交通渋滞の緩和とGHG排出量の削減に寄与しますよね。
国交省の調査では、公共交通機関の利用者増加は、年間で約5万トンのCO2削減につながると試算されています。(国土交通省、2023)。
結論:持続可能な空港運営の未来像
福岡空港の現在地での拡張は、単なる経済合理性だけでなく、生物多様性の保全、資源の循環利用、GHG削減といった持続可能性の視点からも正しい選択だったと確信しています。
北部九州の3空港が連携し、役割を分担しながら効率的な運用を行うことで、地域社会と環境の両方に利益をもたらす未来が期待できます。
福岡空港ヘビーユーザーとして、エアライン大好き人間として、エアポートとエアラインが「飛び恥」とならぬよう、応援して行きたいと思います。
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