NFRDからCSRDへ、自主的から義務へ
2022年は様々な変化があった年でした。
環境分野を専門にしている立場からすると、何と言っても、情報開示項目の多様化と統一化です。
一見矛盾しているような表現に感じられるかもしれませんが、このようにしか表現できません。というのも、「情報開示」といえば、以前であれば「財務情報」であったように思いますが、昨年からは「非財務情報」の開示ルールが一気に花開いた感じです。
・気候変動
・サスティナビリティ
・生物多様性
・人的資本
・ダイバーシティ
・労働安全衛生
などなど
つまり、求められる情報開示の種類が「多様化」したのです。
他方、気候変動、サスティナビリティと個別の「情報」を開示しようとしても、複数のルールが乱立していました。財務会計のように法的根拠がある訳でもなく「ボランタリー」なものでしたので、無理も無いことでしたが。
そこに、メスが入ったことは繰り返しお伝えしてきました。
各イニシアチブ、NGO、国連等々は問題意識は当然持っていて、「統一化」の動きが加速度的に進みました。
現在はまだ途上とは言え、今年半ばくらいには、その概要が見えてくるのではと期待しています。
ということで、本題です。
欧州議会とEU理事会は、2022年6月CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive :企業サステナビリティ報告指令)について、暫定合意に至っており、遅くとも来年始めの発効が確実視されていました。
果たして、昨年11月10日に欧州議会、11月28日にEU理事会でそれぞれ採択され、無事めでたく、予定通り発効の運びと相成りました。
NFRD(Non-Financial Reporting Directive:非財務情報開示指令)はその座をCSRDに明け渡すことになりますが、EU域内企業にとっては、非常に厳しい現実が待ち構えます。
NFRDでは、従業員500名以上のEU規制市場に上場している大企業及び銀行の11,700社が対象だったところ、CSRDでは上場している中小企業を含む50,000社へ大幅に拡大されます。
CSRDにおいて開示が要求される項目の詳細は、EFRAG(European Financial Reporting Advisory Group:欧州財務報告諮問グループ)が2022年4月に草案を公開している、ESRS(European Sustainability Reporting Standards:欧州サスティナビリティ報告基準)が基準書という形で定めます。
加えて、さらに厳しいのが、NFRDが定めた開示のガイドラインが法的拘束力を有しないものであったのに対し、ESRSは法的拘束力を持つということ。
NFRDによって充実した開示が期待されていたものの、期待レベルに達する開示を行う企業が多くない結果を受けたもののようです。
導入は、4段階に分けて行われます。
詳しくは、直接CSRD及びNSRSに当たって下さいね。(英文で数百ページに亘るので、最初から諦めました。日本語での解説記事を待ちたいです)
だだ、Good Newsもあります。
開示ルールのグローバルスタンダードとなっているGRIは、EFRAGと協業してESRSの開発に初期から携わったということで、GRI対応していれば、かなりの程度ESRSにも対応できているということらしいです。
2021年7月に締結されたEFRAG-GRI協力協定により、両団体は互いの技術専門家グループに参加し、情報を共有し、基準設定活動やスケジュールを可能な限り一致させることを約束していたことから、実現したようです。
ということで、これから情報開示には悩まされることにはなりそうですが、着実にストリームライン化されていくようです。期待しつつ、真面目に取り組んで行きたいです。
今年も、情報開示のアップデートは都度行っていきます。
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