排出量算定従事者マストデータ〜その3
「日本国温室効果ガスインベントリ報告書」をテーマに3回目
廃棄物分野からの排出量を減らしたい!という気持ちをお伝えしました。
そのためには、1次データを捉え、自社の排出係数を算出することが必要。
こちらの報告書は、IPCCにより作成 された「国家温室効果ガスインベントリのための 2006 年 IPCC ガイドライン」に基づいて算定されており、報告書には算定の過程が記載されています。
といっても、日本大で集計されている公式の統計値を用いた「推計」ですので、自社の算定には当てはまらないものの、参考までに見てみましょう。
まず、使用している排出係数。
研究が進んでいる分野では日本独自の係数、それ以外はデフォルト値です。
算定は、5つのカテゴリーに分けて行っています。
A.固形廃棄物の処分
B.固形廃棄物の生物処理
C.廃棄物の焼却と野焼き
D.排水の処理と放出
E.その他
A.固形廃棄物の処理からいきましょう。
この処理に当たっては、種別、処理方法、処分場によって区分されます。
種別 一般廃棄物/産業廃棄物
処理方式 嫌気性・準好気性埋立/嫌気性埋立
処分場 管理処分場/非管理処分場
また、不適正処分されたものは別途カウントされるようです。
NO No Occurrint 発生しない
NE Not Estimated 未推計
埋立においては、メタン排出量のみが算定対象なのですね。
CO2換算すると、全体の0.2%。
90年と比較すると72.1%減とはいえ、減容化のための焼却の増加が寄与しているようなので、そちらを参照する必要があるかもしれません。
算定方法はこちら。
メタンの回収量とありますが、埋立後にメタン排出が少なくなるような中間処理並びに埋立工法が採用されているので、回収はされてないそうです。
また、排出係数はこちら。
炭素含有率は、変化が小さいので毎年度一律の値、ガス化率は固定値、好気分解補正係数とメタン比率はIPCCガイドラインのデフォルト値。
ということで、毎年同じ係数が使えるので、楽ちんですね。
計算結果はこちらです。
続いては、B.固形廃棄物の生物処理。区分はこのようになっています。
種別 一般廃棄物/産業廃棄物/し尿、浄化槽汚泥
処理方式 コンポスト化/嫌気性消化
「A.固形廃棄物の処分」ではメタンのみが算定対象でしたが、こちらでは、メタンとN20が対象となっています。
まず、「コンポスト化」の算定から。
計算は非常に簡単明瞭、「活動量」✕「排出係数」です。
排出係数もデフォルト値でOK。
「嫌気性消化」については、結論から言うと「NO」
つまり、日本国内においては「発生していない」と報告しているそうです。
詳細は省きますが、
1.タンクは気密な構造となっていること
2.汚泥処理プロセスにおける排出量は排出係数に含まれている
からだそうです。
以上より、「B.固形廃棄物の生物処理」ではコンポスト化による排出量のみ
の算定でOKということになります。
長くなってしまいましたので、
C.廃棄物の焼却と野焼き
D.排水の処理と放出
は、次回ということにさせて下さい。