2025年始動 この一年を見通してみる
2025年も、既に第2週目突入。
9連休明けの方も多いのでは無いでしょうか。
お休みしておりましたnoteも、本日から稼働します。
第一本目は、勝手見通しをお届けしたいと思います。
1.貢献が変わる
昨年のCOP29の一番大きな成果は、「Paris Agreement Crediting Mechanism:PACM(パリ協定6条クレジット)」の創生・運用に関わるルール作りが着地を見たことでしょう。
これを受けて、これまでウォッシュ批判の嵐を前に様子見だった事業者や、機関投資家などが、具体的な行動を起こしてくることが予想されます。
ただ、パリ協定6条はクレジットだけを規定しているのではありません。
「地球全体の排出削減に対して、締約国がどのような貢献(Contribution)ができるか」についてのルールを定めたものと認識しています。
もちろん、クレジットという形で、自国のNDC達成に使用できる「市場アプローチ」が主体となりますが(6条2項、6条4項)、「非市場アプローチ(NMA:Non-Market Approach)」も「地球全体の排出削減」には寄与するわけであり、6条8項で規定されています。
2項及び4項と異なり、8項についてはウェブプラットフォームの運用や今後開催されるワークショップ等の会合の形式が決定したに過ぎませんが、市場/非市場アプローチ織り交ぜて、締約国が「Nationally Determined Contributions」を推進していくのが2025年だと思います。
2.開示が変わる
2023年は、6月にIFRSがS1・S2の確定基準をリリース。
年度末には、SSBJが日本版S1・S2の公開草案をリリースしたこともあり、2024年は「サスティナビリティ情報開示元年」となった感がありますね。
ただ、昨年は、あくまでもS2号が規定する「気候関連開示」が主流であって、S1号の「全般的要求事項」はひとまず脇に置く、感じでした。
もちろん、気候関連開示の中心であるGHG排出量は、その正確性はさておき、活動量と排出係数の掛け算で「数字」が出てくるため、開示する側、利用する側、検証する側、いずれにとっても分かりやすかったことがあります。
ですが、IFRSは既に、S2「気候関連開示」に続き、Biodiversity, ecosystems
and ecosystem services(BEES)、Human capitalの開示要求事項の開発に着手しています。
他方、欧州では、CSRDが今年12月以降に適用が始まり、そこではESRSに基づいて、気候変動を含むESG10領域での開示が義務付けされます。
日本でも、3月末には日本版S1・S2確定基準がリリース。
金融庁では、時価総額3兆円のプライム上場企業に対し、有価証券報告書において、SSBJ基準に基づいた開示の義務化を2027年3月期から導入する方向で、具体的な検討が進んでいます。
これらから読み取れるのは、次の2つの開示の変化です。
対象企業は限られますが、皆さんご案内のように、全てがバリューチェーンでつながっています。導入時期が後ろ倒しされたり、緩和措置がとられたりするかもしれませんが、「やがて来る未来」であれば、先に着手しておくに如くはなし。勝ち組になりましょう。
3.役割が変わる
私のnoteをご覧頂いているのは、サスティナビリティ情報に関連した業務を担当されている方々だと思いますが、皆さん、それぞれにバックグラウンドがあるかと思います。
私も、元を辿ると「GHG排出量の算定・検証」なので、クレジット周りについては、他の方よりも明るいつもりです。他方、「情報開示」については、ようやく土地勘が働くようになった程度。「会計」に至っては、全くのド素人。
ですが、noteを続けていて感じるのが、日々押し寄せてくるサスティナビリティ情報の波を俯瞰し、今起こっていること、これから起こりそうなことを与件無しに捉え、自分なりに判断していくことの重要性です。
皆さんも、社内で同じような立場におかれているのではないでしょうか。
情報を収集して整理する作業、Curationまでは、そこそこ精度よくAIがこなしてくれるようになりました。(もちろん、使う側に判断できる力量は必要ですが)
なので、これから皆さんが担うべき役割は、Curationのその先。
得られた情報を紡いで、Insight及びForesightを把握し、経営層へインプットすることになると考えます。
役割が変わる、変わらざるを得ないのです。
いかがだったでしょうか。
もちろん、独断と偏見なので、外れたとしてもご容赦ください。
ですが、AIの力を借りながらも、自分の頭で考え、ひとつひとつ、自分の責任として判断していくことの重要性は変わりません。
今年も、広くそこそこ深く、というスタンスで、noteを続けていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。