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J- クレ CORSIA再チャレンジ

J-クレジットが、22年、CORSIA適格クレジットとしての認定を申請したことは、繰り返しご案内してきました。

「CORSIAって何?」と思われる方も多いかと思いますが、そちらについても、詳しく説明しておりますので、ご参照頂ければと思います。

申請を受けたICAOは、CORSIAの技術助言機関(Technical Advisory Body: TAB)にその内容を諮り、下記スケジュールで審議が進行。

Round 1
5月6日(金):TABから質問状送付
5月20日(金):回答提出

○クレジット量調査
6月20日(月):TABから調査要請
7月15日(金):回答提出

Round 2
7月14日(木):TABから質問状送付
7月26日(火):回答提出

Live Discussion
8月1日(月):TABから事前質問状送付
8月5日(金):回答事前送付
8月8日(月):21時~22時実施

12月:サイトに公表&通知

質問状に回答、調査要請に対応、インタビューもこなした上で吉報を待ちましたが、12月、サイトに公表された「適格クレジット」に「J-クレジット」はありませんでした。

この際にも、残念な結果をお伝えしたところです。

TABは、申請の可否判断ではなく、ICAO理事会に対し、報告及び勧告を行う組織ですが、理事会はその勧告を受け入れ、「CORSIA Eligible Emissions Units」として発表したということになります。

22年は、新規申請が7件あり、以下のような結果だったとのこと。

・Programmes recommended for conditional eligibility
(条件付参加資格に推奨されるプログラム):3件←JCMはコレ
・Programmes invited to re-apply
(再申請の対象となるログラム):3件←J-クレジットはコレ
・Applicants not possible to assess
(評価不可なプログラム):1件

同時に申請していた、JCMは条件付きながら申請が通っています。
まぁ、そもそも、JCMはNDCに使用する前提で設計されていますので、中小企業の排出削減を目的として開始された「国内クレジット」を源泉に持つJ-クレジットとは、スキームの厳格さが違います。

21年12月の第24回運営委員会で「申請予定」と報告がされて依頼、経過の共有は全くされず、23年3月の第29回運営委員会で「残念でした」の報告がありました。

第24回運営委員会レジュメより

しかしながら、事務局は結果を受けて指摘内容を検討、23年3月に再申請を行った旨を、23年4月の第30回運営委員会で報告しています。

「改訂内容を委員会に諮らなくてよかったの?」と思わなくもありませんが、個人的には、このように迅速に事務局が動いたことに拍手を送りたいです。
日本に就航しているエアラインには、日本に資するクレジットという選択肢を提供したいですから。

「改善が必要」とされた分野における具体的な要改善内容と対応内容は、このようになっています。

第31回運営委員会レジュメ

議論内容を見る限り、これまで実施されているものの、規定に記載が無かった事項を明文化したり、「その他事項」としていたものを特出ししたり、手続きを具体的に示したりという、制度文書及び方法論の改訂で対応しているようです。

ただ1点、相当調整については、留意しておく必要があります。
これは、オフセットの逆でオンセットのことです。

現在でも、J-クレジットを創生して販売、購入者が温対法の報告で使用するために無効化した場合には、自社の排出量に販売したJ-クレジット量を加算する必要がありますが、CORSIAにおける排出量取引に利用された場合には、同様の「加算」をすることになりますから。

日本国にとっても、NDC達成に向けてはマイナスとなるところ、J-クレジットの制度概念とも符合すると判断して、申請を行ったとしています。

CORSIAでJ₋クレジットがオフセットされると国内排出量が増加 (オンセット義務が発生)することとなるが、我が国の経済活動 に伴う排出を、国内の削減分でオフセットすることは、J-クレジット の制度概念とも符号するため、日本の発着便に係る排出に対 するオフセットへの活用を前提として、CORSIA事務局へ申請

第30回運営委員会レジュメより

CORSIA適格と認められるJ-クレジットは、下記の両条件を満たすものを申請予定とのこと。(具体的には今後CORSIAと協議して確定)

①エネルギー分野(ENーSおよびEN-R)および森林分野(FO)
② その対象期間が2016年1月1日以降の認証申請において認証
 (認証済みクレジットも含む)

第31回運営委員会レジュメより

22年は、累計認証量の多い4つの方法論(太陽光発電設備の導入、木質バイ オマスによる化石燃料又は系統電力の代替、コージェネレーションの導入、ボイラーの導入)のみだったところ、23年は、上記4方法論を含む省エネに加え、再エネや今後増加が見込める森林も含めたようです。(計56方法論)

23年も22年と同様のスケジュールでしょうから、事務局はTABの質問回答に追われていることでしょう。CORSIAが目指す「グローバル削減目標」の達成には、SAFの活用や高効率新型機材の導入などではおぼつかず、やはり「市場メカニズム」の活用は必須。

グローバル削減目標:2010年に、国際⺠間航空機関(ICAO)により決議

1.2050 年まで年平均 2%の燃費効率改善
2.2020年以降、温室効果ガスの排出を増加させないこと
(2020年以降国際航空部門からの排出量を同年の排出レベルにとどめ炭素中立な成⻑を目指す=2020年以降のカーボンニュートラル成⻑)

12月の発表を、心待ちにしていましょう。

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園田隆克@GHG削減サポーター
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