J- クレ CORSIA再チャレンジ
J-クレジットが、22年、CORSIA適格クレジットとしての認定を申請したことは、繰り返しご案内してきました。
「CORSIAって何?」と思われる方も多いかと思いますが、そちらについても、詳しく説明しておりますので、ご参照頂ければと思います。
申請を受けたICAOは、CORSIAの技術助言機関(Technical Advisory Body: TAB)にその内容を諮り、下記スケジュールで審議が進行。
質問状に回答、調査要請に対応、インタビューもこなした上で吉報を待ちましたが、12月、サイトに公表された「適格クレジット」に「J-クレジット」はありませんでした。
この際にも、残念な結果をお伝えしたところです。
TABは、申請の可否判断ではなく、ICAO理事会に対し、報告及び勧告を行う組織ですが、理事会はその勧告を受け入れ、「CORSIA Eligible Emissions Units」として発表したということになります。
22年は、新規申請が7件あり、以下のような結果だったとのこと。
同時に申請していた、JCMは条件付きながら申請が通っています。
まぁ、そもそも、JCMはNDCに使用する前提で設計されていますので、中小企業の排出削減を目的として開始された「国内クレジット」を源泉に持つJ-クレジットとは、スキームの厳格さが違います。
21年12月の第24回運営委員会で「申請予定」と報告がされて依頼、経過の共有は全くされず、23年3月の第29回運営委員会で「残念でした」の報告がありました。
しかしながら、事務局は結果を受けて指摘内容を検討、23年3月に再申請を行った旨を、23年4月の第30回運営委員会で報告しています。
「改訂内容を委員会に諮らなくてよかったの?」と思わなくもありませんが、個人的には、このように迅速に事務局が動いたことに拍手を送りたいです。
日本に就航しているエアラインには、日本に資するクレジットという選択肢を提供したいですから。
「改善が必要」とされた分野における具体的な要改善内容と対応内容は、このようになっています。
議論内容を見る限り、これまで実施されているものの、規定に記載が無かった事項を明文化したり、「その他事項」としていたものを特出ししたり、手続きを具体的に示したりという、制度文書及び方法論の改訂で対応しているようです。
ただ1点、相当調整については、留意しておく必要があります。
これは、オフセットの逆でオンセットのことです。
現在でも、J-クレジットを創生して販売、購入者が温対法の報告で使用するために無効化した場合には、自社の排出量に販売したJ-クレジット量を加算する必要がありますが、CORSIAにおける排出量取引に利用された場合には、同様の「加算」をすることになりますから。
日本国にとっても、NDC達成に向けてはマイナスとなるところ、J-クレジットの制度概念とも符合すると判断して、申請を行ったとしています。
CORSIA適格と認められるJ-クレジットは、下記の両条件を満たすものを申請予定とのこと。(具体的には今後CORSIAと協議して確定)
22年は、累計認証量の多い4つの方法論(太陽光発電設備の導入、木質バイ オマスによる化石燃料又は系統電力の代替、コージェネレーションの導入、ボイラーの導入)のみだったところ、23年は、上記4方法論を含む省エネに加え、再エネや今後増加が見込める森林も含めたようです。(計56方法論)
23年も22年と同様のスケジュールでしょうから、事務局はTABの質問回答に追われていることでしょう。CORSIAが目指す「グローバル削減目標」の達成には、SAFの活用や高効率新型機材の導入などではおぼつかず、やはり「市場メカニズム」の活用は必須。
12月の発表を、心待ちにしていましょう。