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JクレとJCMがCORSIA申請(1)

皆さん「CORSIA」ってご存知ですか?

1000人に聞いて、1人もいないと思います。
1 ‰以下。(パーミル:千分率、パーセントより一桁下ですね)
それくらいマイナーな仕組みですが、私は非常に関心を持っています。

Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation
ICAO(国際民間航空機関)が創設した国際航空における排出量取引制度です。

国際航空と国際海運は、いずれも世界の排出量の約2%を排出しています。
一方、その排出量がどの国に割り当てられるのかが明確でないために、国際的な削減の枠組から外れていました。

そうですよね、各国とも、自国の排出量に含めたくはないですから。
ですが、2%というと9億1500万トン。日本に次いで、第6位に相当します。
捨て置いて良いはずがありません。

世界のGHG排出量(2019年)

これについては、UNFCCCのCOP1から議論はされていましたが、国をまたぐ排出量であるため、原則として、国レベルの排出削減目標を課す京都議定書とは別のトラックで排出削減に対処することとなっていました。

ということで、COPと同時に開催されるSBSTAとICAOで検討が進んでいましたが、2013年、ICAOが総会で、今後の国際航空セクターからの排出削減に関する重要な決定「Global Aspirational Goal」を決議しました。

まぁ、UNFCCCからあれこれ言われる前に、「業界として率先してやってます感」を出そうとしたのかなぁと、勝手に思っています。

具体的には、こういう内容です。

1.2020年以降国際航空部門からの排出量を同年の排出レベルに留めること
2.2030 年までに年率 2%の燃費改善を行うこと
3.この目標の達成のために様々な手法を用いること
・航空機に係る技術の改善
・新たな認証基準や運航方式の改善
・持続可能な代替燃料の使用
市場メカニズムの活用

この中の「市場メカニズムの活用」が「CORSIA」と言うわけです。

このCORSIAは、3つのフェーズで導入されます。

パイロットフェーズ(2021〜2023年):自主参加
第1フェーズ(2024〜2026年):自主参加
第2フェーズ(2027〜2035年):免除国を除いて参加義務

なお、2019年1月から、毎年のモニタリングは義務化されています。

ICAOによれば、Global Aspirational Goalを達成するために必要なオフセット量は、2020-2036年の17 年間で46億トンとも見積もられており、CORSIA導入によるインパクトは極めて大きいです。

というのも、京都議定書の下のCDMでこれまでに発行されたクレジット量の総量が約20億トンですから。

前置きが長くなりました。
このCORSIAで使用することができるクレジットに、J-クレジットとJCMが名乗りを上げたと言うことです。

特に、J-クレジットという極めてドメスティックなクレジットが、世界に打って出るのです。創生期から携わってきた人間としてみれば、しみじみと感慨深く、かつ、期待したくなるのは当然でした。

次回は、J-クレジットがどのような内容で申請しているのか。
運営委員会の資料から、探ってみたいと思います。


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園田隆克@GHG削減サポーター
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